神奈川県川崎市の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、入所の老人が相次いで不審な転落死を遂げ、それが元職員・今井隼人容疑者による事件だったとわかったのは昨年のことだった。 事件発覚の経緯は、今井容疑者が入所者の財布を盗んだとして、窃盗罪で逮捕されたのがきっかけだった(窃盗事件の発覚で今井容疑者は施設を懲戒解雇)。彼が盗んだのは現金十一万円と指輪など四点(六十八万円相当)だが、その一方で三人の入所者を四階のベランダから投げ落とすという悪行を繰り返していた。被害に遭った入所者の年齢は、八七歳、八六歳、九六歳である。 転落死のあった夜の当直はいずれも今井容疑者で、また、“事故”の第一発見者も今井容疑者という自作自演だった。事件発覚前、今井容疑者は雑誌社の取材にこう応えていた。 「家族が亡くなったのがきっかけでお見送りをやりたいと思い、介護業界を選んだ。やりがいは感謝の言葉をかけてもらえること」 そ