明治の若者たちがなにを考え、どう行動したのかといったようなことを調べている。最近になってエリートたちの感覚が、ゆるやかに全ての人々へと広がっていく傾向があるなと気付いた。そういった流れの中から、今回は自活や独立が自炊へと至る現象について紹介してきたい。今となっては自活や独立と自炊には、関連性がないように思えるかもしれないが、当時としては大有りであった。 賄征伐の時代 独立から自炊への流れの分かりやすい事例は、なんといっても賄征伐であろう。賄征伐とは学校の寄宿舎などで食事への不満から、学生たちが食堂で暴れるといったイベントである。正岡子規や南方熊楠、堺利彦など錚々たる面々も賄征伐に参加していることからも分かるように、明治時代に旧制高校などで頻繁に起きていた。 初期の賄征伐は大飯を喰らい、飯に文句をつけながら、大暴れをして賄い方を困らせるというものであった。当時は飯の中に虫や藁、小石などのゴミ