ほぼタイミングを同じくして、戦後日本の歩みをサブカルチャーを通して振り返る著書を発表した文芸・音楽評論家の円堂都司昭とライターの近藤正高。 円堂氏の『戦後サブカル年代記――日本人が愛した「終末」と「再生」』(青土社)は五島勉の『ノストラダムスの大予言』を始めとする「終末カルチャー」を、近藤の『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)は「タモリ」という国民的タレントを軸に戦後史を展開する。 公害と終末カルチャー 近藤 円堂さんの「終末カルチャー」への興味はいつ頃芽生えたんですか? 円堂 今回の本に映画『ゴジラ対ヘドラ』の話を書いていますが、僕が映画館で初めて観たゴジラシリーズがこの作品でして。 近藤 公害をテーマにした作品ですね。この作品が公開される前年(1970年)に、東京都杉並区の高校のグラウンドで女子高生が次々に倒れる事件がありました。その原因が、光化学スモッグだったと後に判明する。