日本の大学の教員と話をしていると、口をそろえて「雑用が多すぎて、教育や研究に十分な時間がかけられない」と言う。筆者も、東京工業大学で教授をしていた時には、そう感じていた。 一方、筆者が現在、学長を務めている、アメリカのシカゴの大学の教員をみていると、拙稿「日本の大学の世界ランクはなぜ落ちる一方なのか」に書いたように、日本の教員よりも、たっぷり時間をかけて教育に取り組んでいる。真剣に教育していないと、学生から苦情が出る。教育の内容については、日本の大学よりも、基礎学力の教育に重点が置かれており、教員全体が協力して、学位取得者の品質保証をする仕組みができている。研究にかけている時間も長い。 なぜ、このように日本とアメリカの教員の置かれた状況が違うのだろうか? 学生、教員、事務職員の数 下記の表に、代表的な日本の大学(東京大学と東京工業大学)およびアメリカの大学(シカゴ大学とスタンフォード大学)