2016年12月20日のブックマーク (1件)

  • 暴力と抵抗:小説『菜食主義者』で読む2016年の韓国社会

    2016年の韓国文学は、マン・ブッカー国際賞の受賞作で、ニューヨーク・タイムズの「今年の」にも選ばれた韓江(ハン・ガン)の小説『菜主義者』に象徴されるだろう。 韓さんの国際的名声は、あえて皮肉をいえば、毎年ノーベル文学賞を待ち望む人びとに「銀メダル」をとったような喜びを与えたようだが、一方で韓さんが問いつづけてきた「暴力」の問題について、多くの人が共感するきっかけとなったのも事実である。 『菜主義者』は、社会の抑圧から逃れようとするひとりの女性の物語である。その抑圧は、凡庸な顔をしている。自然な夫婦関係、親の愛情、普通の女性としての習慣......彼女が抵抗すればするほど、その抑圧は暴力へと変わり、その末に極端な欲望と交錯していく。

    暴力と抵抗:小説『菜食主義者』で読む2016年の韓国社会