津波に流され変形した火の見やぐら(手前)に向かって敬礼する大槌第2分団員。赤い字で「火」などの看板が残り、わずかに原形をとどめている=岩手県大槌町で2011年3月22日、山本将克撮影 東日本大震災で1000人を超える死者・行方不明者を出した岩手県大槌町で、大槌町消防団第2分団(越田弘分団長、28人)の団員たちは、防潮堤の門扉を閉じ、住民を避難させようと最後まで海辺にとどまった。任務を果たした結果、4人が死亡し、7人が行方不明。その中の一人、越田冨士夫さん(57)は団の象徴である「半鐘」を鳴らし続け、津波にのみ込まれた。 海岸に近い大槌町の安渡・赤浜地区。第2分団は地震が起きると真っ先に門扉を閉じる決まりになっていた。11日も団員たちは一斉に防潮堤へ向かった。 「おみゃーは屯所でサイレン鳴らせ」。14カ所ある門扉の1カ所を閉め終わったところで、団員の飛内邦男さん(55)は越田さんからそう