「そういえば、あいつクラミジアにかかったらしいよ!」 じめじめとする夏の夜。いつもと変わらない飲み会の最中、友達が突然声を発した。 "クラミジア"その単語を知らなかったわけじゃない。 保健体育の教科書でちらっと載っているし、というか、ある程度性交渉を持つ同年代の男女の中ではたまに話題に上がるのもあってフランクな印象が強かった。 「誰から性病貰ったんだよ」 「よく遊んでるもんなー」 ヘラヘラとした笑い声に似つかわしくない話題は少しばかりの盛り上がりを見せる。 「ちゃんと検査行ったのかな、誰か言ってあげなよ」 私も他人事のような言葉を投げるも、次から次へと移り変わる他愛ない会話とアルコールによる酔いで、まるでその単語を気に留めることもなく夜は更けていった。 (遊ぶなら、セックスするなら、) (ちゃんと守るところ守ってやればいいのに) (馬鹿だなあ) 自分自身、性についての知識が無いわけじゃない