広島市原爆死没者慰霊式、平和祈念式に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々の御霊(みたま)に対し、謹んで、哀悼の誠を捧(ささ)げます。 今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心から、お見舞いを申し上げます。 68年前の朝、一発の爆弾が、十数万になんなんとする、貴い命を奪いました。7万戸の建物を壊し、一面を、業火と爆風に浚(さら)わせ、廃墟(はいきょ)と化しました。生き長らえた人々に、病と障害の、また生活上の、言い知れぬ苦難を強いました。 犠牲と言うべくして、あまりに夥(おびただ)しい犠牲でありました。しかし、戦後の日本を築いた先人たちは、広島に斃(たお)れた人々を忘れてはならじと、心に深く刻めばこそ、我々に、平和と、繁栄の、祖国を作り、与えてくれたのです。蝉(せみ)しぐれが今もしじまを破る、緑豊かな広島の街路に、私たちは、その最も美しい達成を見いださずにはいられません。 私たち日本人は、唯