乙武洋匡。22歳で上梓した著書『五体不満足』は累計発行数約480万部の出版史に残る大ヒットロングセラー。多様性のある社会の実現を提唱する中にも鋭くユーモアに満ちた発言を続け、ツイッターフォロワーは84万人を超える。自身が抱える障害と同じ「重度さ」で機知に満ちた風刺を操る知性の持ち主であり、政治からエロスまで等分の熱量で語れる論者として、長きにわたる活躍を見せてきた。だが、昨年の不倫騒動で彼は一度地に落ち、泥にまみれた。世間から彼に投げつけられた最も下劣な言葉は「障害者のくせに不倫なんかしやがって」。老若男女に据わりのいい「頑張り屋さんの乙武くん」ではない。 そんな乙武氏が再び世間へカムバックしつつある。一連の騒動で彼は何を感じ、いま何を思うのか。広くウェブ界隈の仕掛け人であり、今の日本社会の表裏をクールに見る視線と見識を持つ中川淳一郎氏との対談が実現した。(対談司会:河崎 環) この記事