「目が合った(気がする)」。ファインダーの中心に捉えたのは今年4月、和歌山市内の岸田文雄首相の選挙演説会場で爆発物を投げたとして、威力業務妨害容疑で逮捕された木村隆二容疑者です。撮影場所は和歌山県警和歌山西署(同市)。勾留先から検察庁に送致される車両の容疑者を狙う「送検写真」、別名「透かし」。重大事件では必ず求められ、失敗は許されない、写真記者の「絶対に負けられない戦い」。その舞台裏です。【大西岳彦/大阪写真部】 警察用語で「48(ヨンパチ)」と呼ばれるように、警察は逮捕した容疑者を48時間以内に検察に送らなくてはいけません。大きな事件で容疑者が逮捕されると、私たちは勾留先の警察署に駆け付け、車両の動線を確認。複数の出入り口がある場合、撮影に必要な要員数を判断し、必要なら応援を要請します。容疑者が車両に乗り込む場面を撮影できそうなポイントもチェック。捜査関係者を取材する記者が得た情報などか