http://www1.clovernet.ne.jp/ponnpe/syaka52.htmlキサーゴータミー ある日、何時ものように釈迦が祇園精舎で説法をしているとき、泣き叫ぶ女の声がした。 「私の息子を助けてください。」 その悲鳴にも似た声で釈迦の説法は中断した。全員の視線はその女に注目した。釈迦は弟子に耳打ちすると、二人の修行者が、女に近づいた。 「ここは、釈迦の説教の場、大きな声で泣かれては、人々の迷惑になります。さあ、こちらでお待ちください。説法が終えられたら、釈迦がお話を聞きたいと申されています。」 この言葉に女は驚いた。偉大な釈迦が、自分のような一介の女性と会ってくださるというのである。さらに驚いたのは、通された部屋が釈迦の部屋なのである。女は悲しさと、釈迦の暖かい志に再び泣きじゃくった。 講堂では釈迦は再び説法を始めていた。釈迦が説法を終えると自分の部屋に戻った。部屋には泣き叫んでいた女が先ほどの疲れ果て、うそのように沈黙して座っていた。その女の腕にはしっかりと、未
