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ブックマーク / yanretro.hatenadiary.org (30)

  • 昔の写真師に敵わない - 新・平成写真師心得帳

    カメラ財団であった古写真を読み解くという催しに出て、驚いた。200人くらいは入るホールがほぼ満員なのだ。大半はお年寄りだったが、中に若い男女の姿もある。明治から大正期の銀座、京橋から築地にかけての写真を、現在の様子を念頭に置きながら、解説するという趣向である。何でそんなものに? 自分もそこにいるのを棚にあげて、不思議でならなかった。 これが人物写真となれば、何のだれ兵衛がどこでどんな場面で撮ったとか、一緒に写っているだれそれとのいわく因縁だとか、時代背景がどうだとか、専門家の解説も必要かもしれない。だが、町の風景ならだれが見たって一目瞭然だろうーーそう思っていたのだが、違った。古写真の見方にもいろいろあるものだと感心もし、また解説はそれなりに面白かった。 ◆中岡慎太郎はなぜ笑っているのか ただ、これらの写真がどんな機材を使ってどう撮られたのか、そこに関心のある人は、わたし以外にはいない

    昔の写真師に敵わない - 新・平成写真師心得帳
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    trashcan 2014/10/14
  • へそ曲がりとわがままの果て - 新・平成写真師心得帳

    「え? 水晶のレンズ?」。初めて聞いたときは、まさかという感じだった。物知りに聞いてみると、ちゃんとあるんだと。「水晶って溶けるの?」「珪石だからね」「フーン」といったところで、わかったようなわからんような。 ピントがキリッとしたのが写真の道だとすれば、写真らしくない写真を、つまり絵画的な写真を目指した芸術運動がピクトリアリズムだ。19世紀から20世紀への変わり目のあたり。その需要に応えてソフトフォーカスのレンズがいろいろ作られた。そのひとつらしい。「しかし、水晶ねえ。写るんかいな」 ◆遊べるレンズ? これが立派に写るのである。どころか、いわゆるソフト・レンズにありがちな妙なくせがない。絞りを絞っていくとどんどんシャープになるという、シングル・レンズの特性はそのまま。ただ、そこがガラスと違うのだろうか、コントラストは弱め、逆光では簡単にフレアが出るようだ。だから逆に、被写体と照明をうまく

    へそ曲がりとわがままの果て - 新・平成写真師心得帳
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    trashcan 2014/10/14
  • 豪快! 大判を目測で撮る - 新・平成写真師心得帳

    「フォーカス」でならしたカメラマンの福田文昭さんから案内がきて、「藤村一郎さんを囲む会」をやるという。「藤村さん? はて誰だろう?」。聞けば、米通信社のカメラマンとして朝鮮戦争を取材したというのだから、いわば戦後写真の第1世代だ。85歳のいまも現役だという。その方が、昔話しをしてくれるのだと。これは面白そうだ。 福田さんとのやりとりで、藤村さんがスピグラで撮っていたとわかったので、ちょうどグラフライトをいじくりまわしていたのを幸い、スピグラでフラッシュを焚いて驚かしてやろうという気になった。団塊の世代くらいからはストロボだから、フラッシュ・バルブなんて知らない。福田さんに伝えると、藤村さんも「懐かしい」と喜んでいるという。 グラフィックはとうに手放してしまっていたので、城靖治さんに声をかけたら、ちょうど空いてますと、わざわざスピグラをかついできてくださった。これが超がつくほどの美品の、しか

    豪快! 大判を目測で撮る - 新・平成写真師心得帳
  • ひょうたんからスキャナ - 新・平成写真師心得帳

    「はがきスキャナがあるけど、要りますか?」と突然友人がいってきた。はがきスキャナ? そんなものがあるの?と詳しい人に聞いてみた。すると、「3年前にいったじゃないですか。あなたが要らないって言うから捨てちゃった」と叱られてしまった。 骨董ジャンボリーで、いつも坂崎幸之助さんのお店にいる高木靖夫さんである。そういえばそんな話はあった。SさんとムさんがA4のスキャナで画像を直接捉まえたというので、好き者を集めてワークショップをやった。のぞきにきた高木さんは、しきりと「間接方式」の話をしていた。 以前紹介した「横浜のスキャナおじさん」堀江忠男さんは、高木さんの話をヒントに、独自のアイデアと工夫で間接スキャナカメラを作ったのだった。高木さんは「間接方式」の人なのである。 ◆捨ててしまった理由 レンズからの光を直接つかまえるのが直接方式。対して間接とは、スキャナのガラス面にすりガラス処置をして、いわば

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    trashcan 2014/07/14
  • 気を写す - 新・平成写真師心得帳

    銀座に今もある有賀写真館の創業者、有賀乕五郎(とらごろう)の「気を写す」という話がある。写真館を訪れたところ、有賀が「今日はお顔の色がすぐれないようですから、差し支えなければ、日をあらためた方が‥‥」といった。そこで、別の日に顔を出したら、「あ、今日のお顔はよろしい」と撮影してくれた。 聞けば、「気」というものがあって、有賀はその「気」を写しているのだといったそうだ。竹田正一郎さんが「祖父から聞いた話です」という。 確かに人間だれしも、日によっていいとき、悪いときがある。理由はなんであれ、やはり顔に出るのだろう。有賀はそれを見極めて撮っていたらしい。たいしたものである。その有賀の作品が、東京都写真美術館の「ポートレート」展にあった。「郷夫人」だったか、子どもを抱いた母親の実にいい感じのポートレートだった。それにしても、「調子のいいときにおいでなさい」とは、何と優雅なことか。 ◆もし「気」

    気を写す - 新・平成写真師心得帳
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    trashcan 2014/06/05
  • 光り物症候群 - 新・平成写真師心得帳

    なぜそう思ったのかは、よくわからない。昨年暮れ、自由ヶ丘駅前のクリスマスツリーの点灯式で、友人のゴスペル・グループが歌うと聞いたとき、反射的に「あ、これはバルブだ」と思った。 フラッシュバルブ(閃光電球)はストロボとはけた違いの光量で遠くまで届くから、戸外で大人数を撮るには最適だ。が、燃焼時間が長いから動くものには向かない。流れてしまう。クラシックならまだしも、ゴスペルといえばジャズの元祖みたいなものだろう。激しく動くんじゃないか? ではストロボにするか。いや、きれいに撮るんならデジカメでいい。わざわざ大判で撮るんだから、雰囲気をつかまえたい。それにはバルブだ。ちゃんと写るかどうかもわからないし、半分は「驚かしてやれ」というのがあった。フラッシュを焚くこと自体が、いまの時代では動機不純なのである。 ◆甘く見た報い とはいえ、大判でフラッシュを焚くなんて滅多にない。暗いところでもなんとか自然

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    trashcan 2014/06/05
  • ルイス・キャロル探索 - 新・平成写真師心得帳

    「ブックオフで面白いを見つけた」と友人がブログに書いていた。ルイス・キャロルのイラスト入りの作品集で、「不思議の国のアリス」から何から、ずらっと載っているという。 ふと思い出して、「ハイアワサの詩は載ってない?」と聞いてみたら、「出てます。でもあなたが興味のありそうなカメラの絵は出てません」と。いやいや、実は手元にある詩のコピーの出典が不明なので……などというやり取りの末に、どうやらそのらしいとなった。 ◆ハイアワサってだれ? ずいぶん前だが、ロンドンの暗箱カメラのコレクターを訪ねたときのこと。ルイス・キャロルがカメラマンだったという話になって、彼が使った機材がまだどこそこにあるとか、そんな会話のあと、別れぎわにくれたのがそのコピーだった。 タイトルは「ハイアワサの写真撮影」。ハイアワサという変な名前の写真師が、ある名士の家を訪れて家族を1人ひとり写真に撮る。しかしみんな動いてしまって

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    trashcan 2014/06/05
  • 好きこそものの上手なれ - 新・平成写真師心得帳

    仲間内では「ムさん」で通っている。とにかく多才で、鉄道模型は家の中にジオラマまで作っているとか、工作は金属・木工・塗装・配電、何でもござれ。物の鉄道も大好きで、廃線になると聞けばどこまででも乗りに行く。SLの撮影ではプロもはだしという話である。 カメラにも目がない。クラシックから最新のデジカメまで手当り次第。とくにレンズにうるさくて、自分でアダプターを工夫しては、妙な組み合わせを楽しんでいる。最近は車にも凝っていて、クラシックのミニがお気に入りだ。唯一の抜け落ちが大判カメラだった。 ◆どうした風の吹き回し そのムさんがなぜか突然、「大判カメラはないか」といい出した。前にここで紹介した「スキャナカメラ」に触発されたらしい。はじまりが「ノートパソコンが手に入ったから」だった。「ああ、カメラならいくらでもあるよ」なんていってるうちに、「仕組みを知りたい」というので、最初に工夫したSさんを紹介し

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    trashcan 2014/06/05
  • ベス単遊びは病気か - 新・平成写真師心得帳

    植田正治に、ベス単で撮った作品群があって、これがなかなかいい。植田といえば、鳥取砂丘での一連のコンポジションが浮かぶが、ベス単の作品では、素直にレンズが作り出す独特の効果を楽しんでいる。おそらく「ベス単フードはずし」である。 植田は若くして郷里の鳥取に写真館をもち、写真を生業としながら、生真面目に独自の作品を撮り続けたことで知られる。だから「ベス単」のマニアックなソフト画面はいささか意外だ。(写真集「植田正治の純白の抒情」。上が「回想のフランス」から、下が「白い風」から) 「ベス単」はベスト・ポケット・コダック。ベスト判の単玉レンズつき蛇腹カメラだ。1枚レンズは収差が大きいが、前面に絞りをつけて絞り込めば、ほどほどにシャープな絵が撮れる。コダックはすでにブローニー判でこれをやって、安くてよく写るカメラとして一時代を築いた。ベス単は、それをさらに小型にしたものだ。 ◆ベス単で大判は撮れるか?

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    trashcan 2014/06/05
  • スキャナのあと先 - 新・平成写真師心得帳

    実際に手がけてみると、スキャナカメラは思っていた以上に面白い。画質でいえば、CCDやCMOSとは似て非なるものといってもいいほどだが、来のスキャナが想定していない使い方をしているのだから、これは仕方がない。それよりむしろ、従来のフィルム大判では思いも及ばない諸々が現出して、しかもまぎれもなくデジタルなのである。順を追ってお話ししよう。 ◆なんでピントがいいのか 最初におやと思ったのはピントだった。大判レンズのピント面は紙のように薄い。大判の失敗の大半はこれ、といっていいくらいなのだが、スキャナカメラは妙にピタッとくるのである。(右の写真、こんなぐにゃぐにゃでも、ピントが合っている奇妙) ムさんが私のカメラに作ってくれた仕掛けは、木工工作はすばらしいのだが、ピントでいうとまことに大雑把だった。ピントグラスの枠と同じ形にスキャナの取り付け枠をつくって、そこにスキャナが収まっている。しかしスキ

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    trashcan 2014/06/04
  • 驚異のスキャナおじさん - 新・平成写真師心得帳

    何よりも、気度がすごかった。横浜の中区民センターの一室。テーブルにずらりと並んだA3,A4のモノクロ・プリントは、全部スキャナカメラの撮影だ。しかも部分伸ばしもあって、スキャナで問題になるシマ模様も拡大してある。撮影レンズもカメラもスキャナもパソコンも、バッテリーまでが並んでいた。私も含めて、のぞきに行った5人は圧倒された。(写真下) ◆年寄りあなどるべからず 先に六木でやったスキャナカメラのワークショップは、主に大判族とデジタルに強い連中に呼びかけたのだったが、集まった中に筋金入りのお年寄りがいた。横浜在住の堀江忠男さん。76歳。バリバリの大判現役である。むろん、フィルムカメラの方だ。 この時の話は、レンズからの光をスキャナで直接つかまえようというものだったが、堀江さんが同行の年配の御仁と話している中身は,少し違ったらしい。聞きつけた友人が解説してあげたと、あとで聞いた。「だけど、わ

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    trashcan 2014/06/04
  • バイテン新時代 - 新・平成写真師心得帳

    「東京8x10組合連合会」という奇妙な集まりがある。名前だけ聞くと、ハッピでも着て酒樽をたたいているようなイメージだが、中身は全然違うらしい。 その「第2回」という写真展が先頃元麻布のギャラリーで開かれた。これがすごかった。バイテン(8x10)で撮った写真ばかりがズラリ。なんと105枚もあったのだそうだ。大半が銀塩プリントだから、迫力満点。いまどき8x10を焼く、伸ばすというだけで、大変なことである。 メンバーは10人前後だが、プロもアマも、またラボの人もいる。カメラも様々らしく、中には手作りみたいな機材で、スナップに近い撮り方の人もいる。元はネットのおしゃべりグループが、大判の話で盛り上がっているうちに、実際に撮ったものを並べてみようと、いわばオフ会のノリなのだという。(8x10組合写真展の案内状は、大きさもバイテンというこだわり。会場での写真は、無名Field 5x7、Darlot R

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  • 伊兵衛流を絶やすな - 新・平成写真師心得帳

    橋成一氏の写真展「上野駅の幕間」をみた。素晴らしいの一語だ。われわれの年代が覚えている上野駅は、まさに混沌だった。その混沌の中で日々展開された人間ドラマを、橋氏のレンズはしっかり捉えていた。 弁当を持って上野駅に通ったのだそうだ。「どこで弁当を広げても人の目が気にならないからだ」と解説に書いている。だから弁当をべている人も撮れた。大荷物を背負ったおじさん、汽車を待つ酒盛り、荷物番のばあちゃん、別れを惜しむ恋人たちを、実に自然に撮っている。 とにかく人間だ。人がいないのは、終列車が出た後のホームを俯瞰した1枚だけ。あとは人、人、人である。視線に遠慮はまったくない。が、その目はやさしい。自分も画面の中にいるかのような‥‥木村伊兵衛、桑原甲子雄氏らにある、一種突き放したような、素知らぬふりがない。 ◆肖像権という怪物 見終わって、「いま、撮れるだろうか」と考え込んでしまった。これら作品の半

    伊兵衛流を絶やすな - 新・平成写真師心得帳
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    trashcan 2014/06/03
    “見終わって、「いま、撮れるだろうか」と考え込んでしまった。これら作品の半分以上が、おそらく「通報」されてしまうレベルの写真だからだ”
  • 大判の敵 - 新・平成写真師心得帳

    何も書かずにさぼっている間に時間ばかりが経つ。昨年後半は考えさせられる写真展がいくつかあった。9月の「TOKYO 8X10写真展2013」と10月の日大芸術資料館「デジタル以前」、ほかにいくつかの中判・大判、デジタル写真展もあった。機材や感剤は違っても、共通して感じたのは「写真とは何なんだろう」「何を撮るか」という、決して答えの出ない課題だった。 ◆「悩め悩め」は応援歌 「8x10 写真展」は相変わらず熱気にあふれていた。2mはあろうかという巨大なプリントをはじめ、正統の、あるいは意欲あふれる大判写真の数々が並び、プリントへのこだわり、機材やレンズいじりの楽しみから“古くて新しい”湿板写真、さらにはデジタルの世界へ切り込んだものまで、実に多彩だった。(写真右) 中には、レンズの座金に苦しんだあげく、旋盤やフライス盤を買い込んで、自分で削り出す人まで出ていると聞いた。口径が千差万別の古いレン

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    trashcan 2014/01/24
    野戦用暗室テント
  • さがみ野のアンソニー - 新・平成写真師心得帳

    「厚木の『かとう写真館』を取材してみませんか」と誘いを受けたのは2月の初めころだった。小田原のカメラマン西山浩明さんからである。加藤芳明さんを紹介してくれたのも西山さんで、何度か撮影会やだべり会を重ねていたが、加藤さんがどんな写真を撮っているのかは、知らなかった。 しかし、メールに添えられた写真がすごかった。8x10(インチ、以下同じ)が5台、5x7が1台とバレルレンズがずらり。バイテンには5x7と4x5のバックがついているものもある。しかも、ジナーの8x10以外は全部クラシックの木製である。 写真館だから、ライティングは自在のはず。おまけに、暗室で現像までやりましょうという話。大判をやったことのある人はおわかりだろうが、アマがいちばん苦労するのが、現像・焼き付けだ。加藤さんはその仕事の場を貸してくれるという、まあ、夢のような話である。(右写真 撮影:西山浩明さん) ただ、商業写真館は、3

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    trashcan 2013/10/27
  • 古レンズのMTF曲線? - 新・平成写真師心得帳

    「レンズは40以上もってはいけない」と常々いっている。経験的には、20を超えると、年に一度も使わないレンズが出てくる。人よりは“使っている”と自認する私でもそうなのだから、普通のアマならまあ、40が許容できるすれすれ、という意味である。 しかし、これがなかなか守れない。35ミリ判が主だったころは、常時80を超えていた。こうなると毎日のようにカメラを変えても追いつかない。「私を使って」と訴えるレンズ(むろんカメラも)が増えていくのはつらいものだ。 ◆レンズがどんどん増える訳◆ これが大判になると、様相が変わる。いわゆる専用交換レンズという概念がなくなって、レンズはどのカメラにでもつけられる。むろん、イメージサークルがあるからグループは分かれるが、「大は小を兼ねる」と話はまことにシンプルになる。 ただ、35ミリ判や中判なら、カメラを手放せば当然交換レンズもなくなるのだが、大判はカメラと

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    trashcan 2013/10/27
  • デジタルとハサミは使いよう - 新・平成写真師心得帳

    きょうは大判を離れて、デジタルのありようを考えてみたい。 Pinterestという名前を経済誌の記事で読んだその日に、facebookの友だちがそれを使っていたので驚いた。自分で撮った写真、ネットで見つけた気に入った写真を、ネット上にピンナップして、だれでも見られるという新しいSNSだ。記事には、とくに女性に人気だとあったが、その友だちも女性である。 さっそく友人の掲げた写真を突っついてみると、なにしろ世界につながっているのだから、目の覚めるような写真が次々に出てくる。すごいというより、きりがない。なかでひとつ、珍妙な写真が目に止まった。 海の中に岩峰が突っ立っていて、上に立派なお城がある。岩峰は根元の方が細くなっていて危なっかしいのだが、入り口が穿ってあり、ハシゴがかかって、ボートも浮かんでいる。「どこだ?」と説明を見たら「ダブリン」とある。 はて、地中海から小アジアあたりでは、ストイッ

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    trashcan 2013/08/25
  • 写真師たちの輝き - 新・平成写真師心得帳

    知人からのメールに「維新の志士の写真」の真贋を問われたという話があった。ホームページのアドレスがついていたので、つついてみると、見事な集合写真が現れた。まげを結って刀を持った武士たちが、2人の外国人を囲んでいる群像だ。総勢46人。素晴らしい写りである。(以下の写真はいずれも、ブログ「教育の原点を考える」から) ◆驚きのフルベッキ写真 知人は、デジタルのフォトレタッチの仕事をしているので、古写真のコレクターに意見を求められたらしい。写りがよすぎるので「合成ではないか」と答えたとあった。明らかに間違いである。常々いっているが、湿板写真師の技術はすばらしい。この程度の写りはいくらもある。 そこで、写真の因縁などは見もせずに、「物だと思いますよ。昔の写真師はこれくらい撮ります」とメールを送った。ところがよく見ると、46人の1人ひとりに名前が振ってあって、ありえない人物——西郷隆盛だの坂龍馬、明

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    trashcan 2013/08/24
  • 見る人か撮る人か - 新・平成写真師心得帳

    東京都写真美術館で写真展「機械の眼 カメラとレンズ」の内覧会があった。学芸員が作品を解説してくれる。友の会の催しだが、いつも盛会である。なかで女性がデジカメで撮っていたので、私も1枚撮った。と、その女性が「撮影禁止です」という。記録を撮っていた東写美の職員だった。 「はい、はい」といっておけばよかったのだが、写ったデジタル画像がいい感じだったので、女性に見せた。すると女性は御注進に及んで、内覧会の担当という人が「画像を消去してください」という。おいおい、これはまた、話がひとつ違うだろうと、これでキレた。(東写美は好きです。友人と出会う場でもある。写真は文と関係なし) ◆展覧会はフォトジェニック 私が撮ったのは、会場の雰囲気である。学芸員の金子隆一さんが気持ち良さそうに話している。その空気だ。だから、「金子さんが嫌だというなら消すが」と断った。しかも、キレていたから、日頃の持論をぶつけた。

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    trashcan 2013/08/24
    "「撮影禁止」といわれるたびに、私は意図的にもめることにしている"
  • スキャナカメラ1周年 - 新・平成写真師心得帳

    半年間「写真師」をさぼっていたが、スキャナカメラの実験はずっと続けていた。この間にわかった諸々をご報告しよう。あまりにも休みが長かったので、いささか季節外れだが、まずは2月の雪の体験から。 雪の降り始めは粒が大きい。何気なく見ているうちに、「これはいけるかも」とひらめいた。フィルムで雪の粒をピタッと止めて撮るのは、なかなかむずかしい。しかし、スキャナカメラはスリット(スキャン・バー)だから、粒のひとつひとつを捉まえられるのではないか。 そこで近くの甲州街道・環八の交差点、立体交差でカメラに雪がかからない場所を選んで三脚を立てた。スキャンを始めて見るとドンピシャだった。全部が全部ではないが、見事に雪の粒が全面に散らばって止まった絵がいくつも撮れた。【雪の粒が止まった。車の歪みは、後の説明を参照。(Boyer Saphir《B》210/4.5)】 スリットは画面の右から左へ動く。だから雪の粒が

    スキャナカメラ1周年 - 新・平成写真師心得帳
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    trashcan 2013/08/24