毎日のように幾多のメディアで表現者たちが紹介されるなか、そこでテンプレ化された「豊かさ」賞賛には、こちらの感性を鈍らせる危うさも潜んでいる。そこでは彼や彼女の作品がいつだって「才能に溢れ」「優しさに(または怒りや希望に)満ちて」いて、受け手は「その世界観に包まれる」。でも作り手は、自分やこの世界に何かが避け難く足りないことと向き合う時間も知っている。そこから初めてつかみ取れる希望のことも。 「Absence」(不在)をあえて新作タイトルに選んだPredawnは、そこに気づかせてくれる存在のひとりだろう。柔らかい笑顔で「何かを諦めた後に見えてくる希望もあると思う」と話してくれたPredawnこと清水美和子にあえて常套句で応えるなら――彼女の音楽は、自分への誠実さに溢れている。 高校生のころは素朴に、この世界の善悪って誰が決めているんだろう? という思いがあって。 ―Predawnの音楽に初め
![何かが足りない人生を肯定する、Predawnの「諦め」の哲学 | CINRA](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/fe7a0d5d5871ddeba2b73f3e25566a3710ea6748/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fformer-cdn.cinra.net%2Fuploads%2Fimg%2Finterview%2F201609-predawn_l_full.jpg)