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ブックマーク / www.webchikuma.jp (26)

  • 兵器への偏愛が生んだ一編の批評|ちくま新書|大塚 英志|webちくま

    戦時中、少なからぬ人々が、頭上を飛ぶB-29を見て「美しい」という言葉を残していました。人を殺す兵器を見て美しいと感じる、その感覚と深く向き合った『B-29の昭和史』の書評を、大塚英志さんに執筆していただきました。PR誌「ちくま」に掲載したものより少し長い、完全版です。 ぼくは言うまでもなく「おたく」の類だが、ミリタリー方面には疎く、手先が不器用でプラモデルも苦手だ。模型雑誌に一瞬手を出した時があったが、もっぱら海洋堂の綾波レイのガレージキットの情報が目当てで、買って箱ごと観賞用に飾るだけだった。それでもナチスドイツの戦車や飛行機の模型写真に思わず見とれる時があった。思想的にはぼくはベタなサヨクだが、その「思想」に反して、兵器のデザインを「美しい」と思うことがある。ぼくと比較するのはあまりに不遜だが、宮崎駿もその左派的発言とミリタリーマニアぶりの解離はよく知られている。若き日の宮崎がミリタ

    兵器への偏愛が生んだ一編の批評|ちくま新書|大塚 英志|webちくま
  • 第1回 はじめに――「坂本龍一」と私|「教授」と呼ばれた男――坂本龍一とその時代 |佐々木 敦|webちくま

    比類なき輝きを放つ作品群を遺すとともに、「脱原発」など社会運動にも積極的に取り組んだ無二の音楽家、坂龍一。その多面的な軌跡を「時代精神」とともに描き出す佐々木敦さんの新連載、始まります。 2023年4月2日日曜日の夜9時過ぎ、私は新宿某所で夕を摂っていた。 ふとスマートフォンに目をやると、契約しているニュース・アプリから通知が届いていた。そこには「坂龍一の死」が報じられていた。私はスマホから一瞬目を逸らし、小さく深呼吸をしてからもう一度、その画面を凝視した。 見間違いではなかった。坂龍一が、坂さんが、逝ってしまった。記事には数日前の3月28日に亡くなったとあった。享年71。がんとの闘病が伝えられていたとはいえ、早過ぎる死というほかない。私は突然の訃報に接した動揺と、ずいぶん前から覚悟していた時がいよいよ訪れたのだという、どこか穏やかでさえある気持ちの両方を感じていた。不思議なほど

    第1回 はじめに――「坂本龍一」と私|「教授」と呼ばれた男――坂本龍一とその時代 |佐々木 敦|webちくま
  • File101. 異国の文化と自分との結びつきを見つめる時に読む本|昨日、なに読んだ?|佐藤 二葉|webちくま

    ピエルドメニコ・バッカラリオ、フェデリーコ・タッディア『だれが歴史を書いてるの?』/イオアニス・ゼレポス『ギリシャの音楽、レベティコ』 紙の単行、文庫、デジタルのスマホやタブレット、電子ブックリーダー…かたちは変われど、ひとはいつだってを読む。気になるあのひとはどんなを読んでいる? 各界で活躍されている方たちが読みたてホヤホヤをそっと教えてくれるリレー書評。今回のゲストは漫画『アンナ・コムネナ』を連載中の佐藤二葉さんです。 5年前、ギリシャ旅の最中、アテネ近くの港町ピレウスのタヴェルナ(ギリシャの庶民的な飲店)で、ギリシャの姉と慕っているアンナさんを前にして私は泣いていた。 アンナさんは私のことを「魂が古代ギリシア人」だと言ってくれる。アンナさん以外のギリシャ人にも何度かそのようなことを言われていた(これは単純に、私が古代ギリシアの竪琴を演奏しているからだと思う)。そのことがきっ

    File101. 異国の文化と自分との結びつきを見つめる時に読む本|昨日、なに読んだ?|佐藤 二葉|webちくま
  • ウクライナ戦争が問う我々の人間性|ちくま新書|小泉 悠|webちくま

    ちくま新書『ウクライナ戦争』の著者・小泉悠氏が、戦争について、人間について、悪について、子供たちについて、その質を率直に語った貴重なエッセイ。PR誌「ちくま」1月号より緊急転載いたします。 戦争という現象にはいろいろな顔がある。直接の戦争経験を持たず、軍事オタクとして生きてきた筆者が戦争と聞いてまず思い浮かべてきたのは、「戦闘」だった。巨大な軍隊同士が火力や機動力を発揮して敵の殲滅を目指す暴力闘争。これは間違いなく戦争の一つの顔ではある。 しかし、12年前に子供を持ってから、戦争の別の側面を意識するようになった。子供という、この弱くて壊れやすいものを抱えながら生きていくということは、平時の社会においてもなかなかに緊張を強いられるものがある。すぐに熱を出す、とんでもないことで怪我をする、迷子になる。そういう子供との暮らしに、爆弾が降ってくるのが戦争である。あるいは、子供にべさせるものがな

    ウクライナ戦争が問う我々の人間性|ちくま新書|小泉 悠|webちくま
  • File49.夢を見にくいこどもに話しかけようかなと思った時に読む本|昨日、なに読んだ?|雁 須磨子|webちくま

    紙の単行、文庫、デジタルのスマホ、タブレット、電子ブックリーダー…かたちは変われど、ひとはいつだってを読む。気になるあのひとはどんなを読んでいる? 各界で活躍されている方たちが読みたてホヤホヤをそっと教えてくれるリレー書評。 【雁須磨子(漫画家)】→→吉川浩満(文筆家)→→??? 私の両親は若くして結婚して、母は二十歳そこそこで二人の娘を産んだ。 街のショッピングセンターのレストランで両親は働いて、子供達はショッピングセンターの中に放流されて一日を過ごす。 私はだいたいゲームコーナーか屋のまんがコーナーに入り浸っている。その頃は屋の立ち読みが今より自由だった。楽しかったな。でもなかなかしんどいことも多かった。 そんなくらしの中で、いいことだと思うけれど親は私たちにとても厳しかった。今にして思えば若い二人が必死に生活しつつ二人も子供を育ててるのでまあしゃあない。家は裕福とはとても

    File49.夢を見にくいこどもに話しかけようかなと思った時に読む本|昨日、なに読んだ?|雁 須磨子|webちくま
  • 「ていねいな暮らし」の戦時下起源と「女文字」の男たち|「ていねいな暮らし」の戦時下起源と「女文字」の男たち|大塚 英志|webちくま(1/4)

    5月4日、厚生労働省が新型コロナウィルスを想定した「新しい生活様式」を公表しました。感染対策のために、「手洗いや消毒」「咳エチケットの徹底」といった対策を日常生活に取り入れることだけでなく、会話や事、働き方など様々な領域における行動について指針を示しています。 この「新しい生活様式」という言葉から、戦時下に提唱された「新生活体制」を想起するという大塚英志さんに、エッセイを寄せていただきました。 テレビの向こう側で滔々と説かれるコロナ下の「新しい生活様式」なる語の響きにどうにも不快な既視感がある。それは政治が人々の生活や日常という私権に介入することの不快さだけではない。近衛新体制で提唱された「新生活体制」を想起させるからだ。 かつて日が戦時下、近衛文麿が大政翼賛会を組織し、第二次近衛内閣で「新体制運動」を開始。その「新体制」は、経済、産業のみならず、教育文化、そして何より「日常」に及ん

    「ていねいな暮らし」の戦時下起源と「女文字」の男たち|「ていねいな暮らし」の戦時下起源と「女文字」の男たち|大塚 英志|webちくま(1/4)
    triceratoppo
    triceratoppo 2020/05/23
    これを読んで理解する層と理解できない層の断絶は深いし、すぐには戻せそうもない。理解した上で同意するか反対するかは別として。