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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/reizei (13)

  • 解雇規制緩和はジョブ型雇用とセットでなくては機能しない

    仕事を標準化すること、高度な業務のスキル教育を実現することが条件となる> 解雇規制緩和の議論が始まっています。この議論ですが、来であれば、バブル崩壊後の変革期に始まっても良かったのです。少なくとも1990年代において、電算化と国際化の中で、対応のできない人材を別の分野に適正化させる一方で、新しい世代の若い労働力に入れ替える必要があったのです。仮にそうなっていたら、これだけの超長期にわたって日経済が衰退することもなかったと考えられます。 では、解雇規制を緩和して、企業の社内も、また労働市場も完全に実力主義にしていけば、それが全体最適なのか、問題は単純ではありません。日型雇用の硬直した制度が改革されさえすれば、全体が成長してゆく中で個々人にもトリクルダウンと機会の拡大という恩恵があるのかというと、そう簡単ではないのです。解雇規制の緩和を成功させるのには、どうしても一つの条件が達成されな

    解雇規制緩和はジョブ型雇用とセットでなくては機能しない
  • セブン買収提案と、日本経済の今後

    <急激な円安によって外国企業による日企業の買収は容易になっている> コンビニチェーンの「セブンイレブン」と総合スーパー「イトーヨーカドー」を展開する「セブン&アイ・ホールディングス」は、カナダのケベック州に拠があるコンビニエンスストア大手「アリマンタシォン・クシュタール」から買収提案を受けていました。 この動きですが、最新の状況ではアメリカの公取が、買収に異議を唱える可能性が高いという報道が出ました。日の「セブン&アイ」は、アメリカの「セブンイレブン」も保有していることから、両社の経営統合によって統合後の新会社が必要以上に強い力を持つのは違法だという見方です。つまり統合により、商品やサービスの価格が上昇し、消費者に悪影響を及ぼす恐れがある、そうした観点からアメリカの公取が介入するというストーリーです。 ということで、実際に買収が成立するかは不透明となっています。ですが、今回の買収提案

    セブン買収提案と、日本経済の今後
  • 「セクシー発言」など問題ではない、小泉進次郎が農業改革に失敗した過去をどう評価するか

    <農林中金改革や補助金漬け農業からの転換を主張したが、結局は実現できなかった> 今回の自民党総裁選では小泉進次郎氏の動向が話題になっています。そんな中で、同氏が過去に「気候変動問題はセクシーに」という発言をしたとして「言葉が軽い」などと改めて批判されています。この発言は、5年前の2019年の9月に環境大臣として国連温暖化サミット出席のためにニューヨークに出張した際のものです。 そもそも、この「セクシー」という言い方は、クリスティーナ・フィゲレス氏というコスタリカの外交官の発言を引用しただけです。このフィゲレス氏というのは、パリ協定を主導した国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の事務局長だった人物です。また、この2019年の国連気候変動サミットの中心人物の1人でした。 責められるのは、そうした文脈を理解しないで表層的な報道をした当時のメディアです。小泉氏の立場としては、国連サミットに参加する

    「セクシー発言」など問題ではない、小泉進次郎が農業改革に失敗した過去をどう評価するか
  • 「絶不調」バイデンを深追いしなかったトランプ

    <最悪の状態のバイデンを「KO」にまで追い込まなかったのはトランプの深謀遠慮か> 先月27日に行われた大統領選のテレビ討論では、とにかくバイデン大統領は全く精彩を欠いていました。既に多くが報じられていますが、顔色は悪く、視線には力がなく、終始その声はかすれていて、弱々しく不明瞭でした。言い淀みや沈黙が何度もあったなど、想定された幅の中でほぼ最悪の内容だったと思います。 既に81歳であるバイデンについては、これまでも何度もメディアがその「高齢不安」を取り上げてきました。そのたびごとにバイデンは、力を振り絞って批判を跳ね返してきました。直近の例でいえば、3月7日に行われた一般教書演説がそうで、奇跡的なまでに雄弁をふるい、高齢への不安を吹き飛ばすことに成功していたのは事実です。ですが、今回はそのような奇跡は起きませんでした。 週末をはさんでアメリカの論調は日に日に厳しくなっています。バイデンが候

    「絶不調」バイデンを深追いしなかったトランプ
  • 日本の大学にもパレスチナ支持デモが広がっているが......

    アメリカの反イスラエルデモは依然として全土で続いている(写真はカリフォルニア大学デービス校) Penny Collins /REUTERS <日政府は一貫してパレスチナと「二国家解決」を支援してきており、イスラエルを軍事支援している米政権、民間資とは立場が全く違う> イスラエル国軍(IDF)によるガザ地区への侵攻に抗議するデモが日の大学キャンパスでも起きているようです。報道によれば少なくとも早稲田、青学、東大では動きがあり、早稲田では大隈像の前での活動、青学ではガザ問題に関するを読もうという「読みデモ」、東大では「パレスチナ連帯キャンプ」が出現したようです。 これは勘違いだとしか言いようがありません。 実際は、各大学数名の小さな動きなのかもしれません。ですが、参加せずに行き過ぎる他の学生が、「当は参加したいのだが、就職などを考えるとできない」などという、無意味な無力感を感じたり

    日本の大学にもパレスチナ支持デモが広がっているが......
  • 共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

    共同親権の導入には、DV被害を断ち切れなくなるという懸念が出ている FineGraphics/photo-ac <血縁関係のない子どもに対しても愛情を注ぐこと、国際結婚が破綻しても日の子どもを他国に「取られない」ことへの配慮が必要> いわゆる共同親権を認める民法改正案が国会で審議されています。この問題に関しては、私は進めることには賛成の立場です。アメリカで生活する中で、両親が離婚した場合に共同親権の下で、双方の親との良好な関係を保ってきた事例を多く見てきたからです。アメリカの場合、制度は機能していると推定する合意が形成されているのは事実ですし、アメリカ以外の国を含めた先行事例を検討した上で、日でも今回の法改正が進められているのも事実だと思います。 共同親権を導入することで、DV親が親権を得て子どもがさらなる被害に遭う懸念、共同親権を行使するための接触があったために父母間のDV加害・被害

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点
  • 『オッペンハイマー』日本配給を見送った老舗大手の問題

    アカデミー賞作品賞を受賞した『オッペンハイマー』のノーラン監督(前列右) Jack Bruber/USA TODAY NETWORK/REUTERS <芸術作品に賛否両輪はつきもので、いちいち「炎上」を気にしていたら芸術活動には参加できない> 今年のアカデミー賞授賞式が終わりました。日や東アジアでは、主演女優賞を受賞したエマ・ストーンと、助演男優賞を受賞したロバート・ダウニー・ジュニアが、アジア系俳優を「無視」したように見えることから、ハリウッドやアメリカ社会に「アジア系差別がある」という取り上げ方がされています。 この問題に関しては、偶発的な行き違いであったように見えるストーンはともかく、ダウニー・ジュニアの場合は確かにお行儀が良いとは言えず、批判は免れないと思います。ですが、こうした事件を取り上げて、ハリウッドやアメリカで社会的なアジア系差別があるとか、自分も被害者だとして憤ったり、

    『オッペンハイマー』日本配給を見送った老舗大手の問題
  • 日本を衰退に追いやる「中抜き」経済を考える

    <「事務部門の維持費」を効率化できれば、現場の収入も上げられ、人手不足の解消にも繋がる> 近年「中抜き」という言葉をよく耳にするようになりました。例えば、能登半島地震で避難をしている人に配られる弁当が、貧相な内容なので「中抜き」されているのではないか、という議論がありました。弁当といえば、コロナ禍の時期にビジネスホテルに強制隔離された入国者に配られる弁当も貧相だと問題になったことがあります。この時はハッキリと国が払う1日2700円の予算の中から、ホテル側が経費として700円を差し引いていたということが明るみに出ていました。 コロナ禍の期間中は、例えば入国時の検疫に大量の人員が動員されたり、高額なPCR検査が大規模に実施されたりしましたが、これも非正規雇用者や医療従事者には国から直接報酬は払われませんでした。国はあくまで契約した派遣業者や場合によっては旅行代理店などに、まとまった支払いをする

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  • 「No, thank you.」の消滅......アメリカは日本化しているのか?

    <日でもアメリカでも、ネットを介した短いコミュニケーションで関係性を悪化させないための知恵が必要に> 日の若者がLINEなどのメッセージで「句点(。)」を一切使わないということが、話題になっています。句点無しの短い文章を区切りながら繰り出すことで、リアルタイムのコミュニケーションを取るためのようです。それが完全に定着する中で、句点を使うことが「威圧感、怒りの感情」の表現として受け取られるようにもなっているようです。 若い人たちに指摘されて気付いたのですが、実はこれはアメリカでも全く同じです。短いメッセージをどんどん繰り出してリアルタイムの交信をする場合には、ピリオド(フル・ストップとも言います)を使いません。反対に、あえてピリオドで切るとそこには「納得していない」という拒絶や怒りのニュアンスが感じられるといいます。 英語の場合は、少しバリエーションがあり。二人称の you について、い

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  • 同盟国とは思えない、日本人へのアメリカの入国管理のひどい対応

    トランプ政権以降、アメリカの入国管理は厳格になっている(画像はイメージ写真) anouchka/iStock. <近年、アメリカに入国しようとする日人が「別室送り」になって取り調べを受けるケースが多数報告されるようになった> 日アメリカの間では、1988年にビザ免除が開始されて以来、人の往来はスムーズになりました。当初は、何も準備は必要なく、入国時にフォームに記入して、入管でスタンプをもらえば良かったのです。その後、21世紀に入ってESTAという「事前承認を得る」プログラムというのが始まります。これはテロ容疑者などブラックリストに乗っている乗客をチェックするためのものであり、一旦登録が受理されれば特に問題はありませんでした。 いずれにしても、日のパスポートは世界で一番「滑りがいい」と長い間言われていたなかで、日からアメリカへの渡航の際に「引っかかる」ケースというのは、多くのはあり

    同盟国とは思えない、日本人へのアメリカの入国管理のひどい対応
  • クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を日本で今すぐ公開するべき理由

    <原爆開発をテーマにしたこの作品を、被爆国日は当事者として評価する権利がある> 現在、世界で最も注目されている映画監督の1人、クリストファー・ノーラン監督(『ダークナイト』『インターステラー』)の最新作『オッペンハイマー』がアメリカで公開されました。7月21~23日という、最初の週末の興行収入は8250万ドル(約117億円)と、科学者の伝記映画としては例外的なヒットとなっています。 内容は、アメリカ陸軍による原子爆弾開発計画「マンハッタン・プロジェクト」のリーダーを務めた物理学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描くものですが、単に原爆開発のストーリーだけでなく、非常に複雑な構成が取られています。主人公の半生に加えて、後に「赤狩り」の犠牲者として追及を受けた尋問の様子、さらに彼を陥れた黒幕に対する議会の審議という3つの時間軸がモザイクのように散りばめられ、それぞれが緊張感のある対話劇にな

    クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を日本で今すぐ公開するべき理由
  • アメリカで「転売ヤー」問題が少ない理由

    <市場原理で価格が変動することがアメリカでは許容されているが、格差社会が露骨に価格に反映されることは良いことではない> 商品を買って楽しむのではなく、転売目的で仕入れるために買い占めに走る行為が日では後を絶ちません。いわゆる「転売ヤー」の問題です。買い占め行為が横行することで、消費者が適正な価格で商品を入手できなくなるわけで、社会的には迷惑行為以外の何物でもありません。 このような転売目的の買い占めについては、アメリカでもゼロではありませんが、大きな社会問題にはなっていません。反対に、転売目的のオークション出品というのは普通のことですし、スポーツの試合やコンサートなどイベントのチケットについても、再販売市場があり、転売をするのも、それを買うのも、転売に関する社会的な批判は限られています。 では、アメリカの場合は、問題はないのかというとそうではありません。まず、イベントのチケットですが、2

    アメリカで「転売ヤー」問題が少ない理由
  • 『はじめてのおつかい』がアメリカで巻き起こした大論争 NEWSWEEK

    <保護責任が厳しく問われるアメリカでは、子どもを一人でお使いに出すことは「非常識極まりない」はずだが......> 日のNTV系列が放送している長寿番組『はじめてのおつかい』の中から、諸条件に合致したエピソードの放映権がNetflixに売却され、この4月1日から「Old Enough」(「(単独行動をするには)十分に大きい」)というタイトルで世界各国で視聴されるようになりました。一番幼い場合は3歳児未満という幼児が、親に頼まれて「一人でお使い」に行くというリアリティー・ショーですが、アメリカでは大変な話題になっています。 アメリカでは、州によって若干の違いはありますが、基的に13歳未満の子供に対しては保護者の監視が義務付けられています。ですから幼児に一人で街路を歩かせていることが判明した場合には、その幼児は即座に保護され、保護者は逮捕されるばかりか、そのような「危険な状態を見て見ぬふり

    『はじめてのおつかい』がアメリカで巻き起こした大論争 NEWSWEEK
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