まだ若い頃の話ですが、アルミにチタンコーティングしたことがあります。耐磨耗性が向上すると言う噂を聞きつけて処理屋に発注したのです。できあがってきたその部品は、金色に輝き、 ほー、さすがチタン。金色だあ。硬そうだなー。 などと、根拠のない感慨に浸っていました。これで、未来永劫この部品が磨耗する事はないとよろこんで組み付けました。早速機械を動かしてみると、実に滑らかに動くではありませんか。仕上げが良い硬い面の溝は、はまったピンの圧力に負けることなくガイドしてくれたのです。アルミの地がでていたらたちどころに面が変形し、くぼんで、引っかかるようになって削れてきて、動きが悪くなってしまうのです。 なっ、チタンでなきゃダメなんだよ。 ダメなのは私でした。確かに、普通のアルマイトよりは長持ちしましたが、やっぱり磨耗するのです。いったん磨耗が始まると、あっという間に使えなくなりました。どうしてなんだろう?