ある晴れた日、僕は一人の老人にともなわれてふらりと町へ出た。 老人はラーメン暦四十年。 これから僕に、ラーメンの正しい食べ方を伝授してくれるのだという。 僕:「先生、最初は、スープからでしょうか、それとも麺からでしょうか?」 老人:「最初はまず、ラーメンをよく見ます」 僕:「は、はい」 老人:「どんぶりの全容を、ラーメンの湯気を吸い込みながら、じみじみ鑑賞してください。 スープの表面にキラキラと浮かぶ無数の油の玉。 油に濡れて光るシナチク。 早くも黒々と湿り始めた海苔。 浮きつ沈みつしている輪切りのネギたち。 そして何よりも、これらの具の主役でありながら、ひっそりとひかえめにその身を沈めている三枚の焼き豚」 老人:「ではまず箸の先でですね、ラーメンの表面をならすというかなでるというかそういう動作をしてください」 僕:「これはどういう意味でしょうか?」 老人:「ラーメンに対する愛情の表現です
![映画『タンポポ』よりラーメンに関する部分のまとめ « 美味かもん雑記帳](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/27b0e84defcdd1f12565bf934af654cfb8f4ba29/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fblog.oisiso.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2012%2F06%2Ftorigarafu_ramen.jpg)