エスカレーターで急ぐ歩行者のために片側を空けるマナーが定着しているが、追い越しの際に体や荷物があたって転倒するケースが目立っている。東京消防庁の調べでは、搬送される人がここ数年で増加。鉄道事業者は注意を呼びかけ、メーカーも対策に乗り出した。 国内最多の1日75万人が乗車するJR新宿駅。エスカレーターの右側を次々と急ぎ足のサラリーマンらが歩いて上っていく。左側に立つ利用者は、しっかりと手すりをつかんでいた。 友人との会合で週3回ほど新宿駅を利用するという横浜市の須藤孝夫さん(78)は「できるだけ端に寄っている。荷物があたって転んだことがあるので」と話した。 東京消防庁によると、都内でエスカレーター事故で救急搬送されたけが人は増えている。2012年は前年より93人多い1289人で、13年は1380人、14年は1443人にのぼった。年齢別では65歳以上が58%で、5歳未満が4%だった。重傷は16