今年7月、浙江省温州市で起こった中国高速鉄道の衝突事故では、200人超の死傷者が出た。しかし、もしダムが決壊したら、その程度の犠牲ではすまされない。場合によっては、数百万人もの死傷者が出る危険もある。 その脅威は、実は目の前に迫っており、世界で最も多くダムを有する中国では現在、最大規模のダム補修プロジェクトが動き出している。今後5年で中国は、ダム決壊の脅威から完全に脱却しようとしている。 中国は1950年代から70年代まで、水利工事の「大躍進」運動を実施。それをテコに世界最大の「ダム王国」となった。現在、ダムの数は8・7万基。そのほとんどが50年代からの20年間で造られた。 人口増加が急加速し、農業は経済の生命線となった。水利はその農業の生命線であり、農業生産請負制と同様、農業生産を発展させる重要なファクターとなった。 しかし、当時のダム建設技術の水準は低く、財政的にも厳しかった。