未来は永久凍土の上に (http://www.hashslingrz.com/future-out-there-permafrost) 舞さつき・木原善彦訳 身を切るような寒さの夜、チェコの兵士ヤーラ・ツィムルマンの小隊はボリシェヴィキ派先遣部隊の闇討ちに遭った。最後の生き残りとなったヤーラは食料もなく、森に逃げ込んだ。よろめきながら木々の間を進み、根っこに足をとられる。星ひとつない暗闇。方向を見失い、完全に迷うまでに時間はかからなかった。ここはどこだ。どこへ向かえばいい。地面に絶えず降り続ける雪片にチラチラと反射するほのかな灰白色の光に彼は気が付いた。夜明けを知らせる光で、雪に覆われた松の枝が姿を現す。太陽は雲にすっぽり覆われ、その姿を見せない。シベリア鉄道の線路まで戻らなくては。ヤーラは自らに刻一刻と迫る死を感じた。延々と続く荒野で迷った彼には、どちらが南でどちらが北なのかわからない。