めんべいだな、と思っていたら、やっぱりめんべいだった。 頃日。弊社の人間がやたらとめんべいを買ってくる。出稼ぎ、見物、諜報など、事情はさまざまだが、福岡方面に出立している。その土産である。けっしてめんべいに怨恨はないのだが、こうもめんべいばかり買ってこられると、なんだかお土産という制度に疑問を呈したくなる。 おみやげ、というのはなんのために買うのか。おそらく元来、その土地に宿る風土風俗などを疎遠のものに届ける、という意味があるように感じる。しかし戦後、われわれ日本人は激動の二十世紀を経た。各交通網やインターネットの普及により、二十一世紀に生きる民草は、かくも簡単にその土地の名物をゲットできるようになった。 そんななか、わざわざめんべいを食べたい人っていますか? 「うわー、おれめっちゃめんべい好きやねん。めんべいなかったら呼吸できへん。ちょうど切らしてたとこや、ありがとさん」ってなりますか?