メディアは「いま思えば頻繁に鼻をかんでいたのは、コカイン常用による鼻粘膜の炎症だったのかもしれない」などと後解釈の発表を続けている。薬物所持で逮捕された勝新太郎や尾崎豊の時代にはこのような社会的抹殺はなかったが……(写真/時事通信社) 「高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない」とは、SF作家のアーサー・C・クラークの言である。ピエール瀧の逮捕騒動で私は、この有名な言を「高度に発達した道徳社会は北朝鮮と見分けがつかない」と表現したい。 瀧が薬物で逮捕されて以来、放送界の動きは素早いものであった。まず瀧がレギュラーを務めるTBSラジオ『たまむすび』は公式サイトから瀧を削除。静岡朝日テレビで瀧が司会を務める『しょんないTV』は即、番組自体の休止を決定。それどころか、『しょんないTV』の縁で瀧の似顔絵が打刻されたマンホールを使用していた静岡県藤枝市は、迅速にこのマンホールを市内から撤去した。