第一に、この定義が誤っていることが、デフレ議論を出発点から混迷させている。デフレとは、不況ではない。デフレとは物価の継続的な下落を指すのであり、論理的には、デフレ下での好景気というのはあり得て、実際、日本の2003年の状況はそれに当てはまっていた。したがって、不況から脱却することは必要だが、デフレから脱却することが必須かどうかは自明ではない。そこで、「デフレは本当に諸悪の根源か」、これを議論しよう。 さて、そもそもなぜデフレになるのか。理論的には、その理由は2つに分けられる。需要サイドが要因の場合と、供給サイドが要因の場合である。多くの場合は、需要不足によりデフレが起こる。日本の国内経済で考えると、モノへの需要、たとえば、自動車(新車)への需要が減少し、供給は一定であるとすると、すなわち、新車販売店は、売り上げ目標を需要の弱い中で達成させようとすると、値引き販売するしかないから、新車価格は