21世紀の現在、医学はたしかに進歩を続けている。そのおかげで、より多くの人命が救われ、病気が治って幸福で充実した人生に再び帰ることができる人々が増えている。完全な治療ではなく、医療によって死亡が防がれて、その後に続くある種の障碍や医療への依存を抱えて生きる人々が増えているということでもあるが、たとえそうであったとしても、多くの場合において、それを可能にした医療の進歩はプラスに捉えるべきである。 それにもかかわらず、私たちは、現代の医療の問題を考える時に、進歩する医学を賞賛してそれで事足れりとしない。医療という現象を、医科学の発展と治療技術の革新のみを軸にして捉えることを、日本も含めて先進国の社会はしなくなっている。仮定法的に言うと、もしそうしているとしたら、現代の医療に対する評価は賞賛に満たされたものになり、現代の医者たちは、新記録を出したスポーツ選手や心に響く唄を歌う人気歌手のように、栄