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ブックマーク / delete-all.hatenablog.com (9)

  • 午後七時、僕の部屋に明かりが灯る - Everything You’ve Ever Dreamed

    漁師だった母方の祖父は小柄なくせにとにかく腕っぷしが強くて中学を卒業するまで僕は腕相撲でまったく敵わなかった。もっとも、漁師だったのは僕が産まれるずっと前のことで、陸にあがったあとは普通に会社勤めをしていたし、人もあまり思い出したくないのか、漁師時代のことにはほとんど触れようとしないので、ときどき母親と叔父の会話から垣間見える程度で、祖父の漁師時代のことを僕はよく知らない。小学生のころ、夕暮れどきに一緒に海岸を散歩していた祖父が灯台をみつめて、ただひとこと、「あの灯りを頼りに」とぼそっと呟いたのを聞いたことがある。そのときの祖父の眼は、夜の海と同じ色をしていた。中学、高校と進んでいくにつれ、腕っぷし自慢の祖父が僕や弟に腕相撲を仕掛けてくることはなくなっていった。 腕っ節が強いイメージが刷り込みのように焼きついてしまっているので、祖父が最近ちょっとおかしい、忘れっぽくなったと親戚から聞かさ

    午後七時、僕の部屋に明かりが灯る - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 私はこれでキャバクラをやめました - Everything You’ve Ever Dreamed

    小向美奈子のクリアファイルにためたキャバクラ嬢の名刺をひと月かふた月ごとに処理している。でも今日で「処理」は最後だ。僕は、キャバクラを、やめた。 アフターってあるじゃん。 お気に入りのキャバ嬢を店が終わったあと、美味しい焼肉屋があるよ、C調に誘い、飲みい歌い、やれやれ電車がないタクシーもこない、どうしようか、やれやれ弱った、やや、あそこにたまたま宿泊価格が大きく表示されて明朗会計で入り口が陰になって出入りが人目につきにくい宿泊施設が、ささ、風邪をひいてはいけない、なんて、ひと気のない、暗い場所へと誘うハラショーなワザ。 僕は、この十年間、高級な車が手にはいるくらいの金額をつぎ込んだけれど、とうとうアフターの夢叶わず、おかげで、こないだの日曜の夕方はひとりで『アバター』、今だって、洗濯物でいっぱいになったカゴの横で乾かずに湿ったままのシャツを着て、レベッカの「ムーン」を聴きながら、ひとり、

    私はこれでキャバクラをやめました - Everything You’ve Ever Dreamed
    tsukamott
    tsukamott 2010/02/13
    僕も破ろう。
  • 私の異常なお見合い・紅蓮篇 または私は如何にして歴女に対し膣ナラについて語るに至ったか。- Everything You’ve Ever Dreamed

    何かおかしい、何となくそんな気がした。そのとき、徹夜明けの僕は、お見合いを忘れるように足を運んだ、「おはようございますプロデューサー!」なーんてカワイイ女の子がしなしな挨拶してくれる《アイドル育成カフェ》について考えていた。ポイントが貯まると記念撮影やら何やら楽しいことができるシステムの《アイドル育成カフェ》に行ってしまったら、「誰だってエビちゃんになれる」的特集が毎号掲載されている小悪魔アゲハを読み、経典の如く崇め、個性も何もなくなってしまったキャバクラなんて過去の遺物、「諸君らが愛してくれたキャバクラは死んだ。なぜだ!?」「アフター出来ないからさ」。 ついでにお見合いも死ねばいいのになんて。諸君らが企ててくれたお見合いは死んだ。なぜだ!?インポだからさ、つって。わあ今度はどのアイドル候補生を応援しよーなんて考えていると、なんとなーくそろそろノッピー☆が騒ぎ出すような気がした。ノッピー☆

    私の異常なお見合い・紅蓮篇 または私は如何にして歴女に対し膣ナラについて語るに至ったか。- Everything You’ve Ever Dreamed
    tsukamott
    tsukamott 2009/07/26
    休日出社のボクの心を癒してくれる。アイハブ。
  • 私の異常なお見合い・接触篇 または私は如何にしてアル中を装い謎の教団と対峙したか - Everything You’ve Ever Dreamed

    小学校の音楽室であの歌を聴いたときに異世界は産声をあげたんじゃないだろうか。若者たち。君の〜ゆく道は〜果てし〜なく〜遠い〜だのに〜な〜ぜ〜歯をく〜いし〜ば〜り〜君は〜ゆく〜の〜か〜そんな〜にして〜まで〜。だのに、だのに、だのに。僕には、だのに、が不自然に聞こえて仕方なかった。なのに、じゃないの?クラスのなかで僕だけが抱いた違和感の萌芽は、僕のなかで萌え萌え成長して僕から飛び出し異世界となり、今まさに飲み込もうとしている僕を。異世界の中心にいるのはシノさんだ。僕の家のドアの鍵の無断の合鍵の持ち主のシノさんは僕のお見合いの相手で、戦国時代好き西軍派趣味コスプレ、スザンヌ似の25歳推定Dカップ、閉鎖的排他的仮装的催事での名前はノッピー☆ 今、ノッピー☆によって僕の部屋の施錠は解かれ、ドアは開かれ、ドアチェーンが悲鳴をあげながらかろうじて侵入を阻止している。僕はブリーフいっちょうで物陰に身を隠して

    私の異常なお見合い・接触篇 または私は如何にしてアル中を装い謎の教団と対峙したか - Everything You’ve Ever Dreamed
    tsukamott
    tsukamott 2009/06/24
    だのに、だのにー
  • Everything you've ever Dreamed

    先日、客を裏切った。断ったのだ。営業という仕事には、条件や状況によっては断らなければならないときがある。断るのも仕事のうちと割り切るしかない。条件が酷すぎて話にならなかったり、客との付き合いが短かく関係が薄かったりする場合は「すみません」の一言ですむ。相手も「まあしょうがないよね」で終わる。 しかし、数年間、定期的に面談を続けて関係性を築いてきたような見込み客は、そうはいかない。数年間かけているということは相応の規模のビジネスが期待できるということ。そのうえ、その期間で築かれた関係性がある。それは言いかえれば、僕に対する期待だ。それを「すみません」と断るのだ。「あなた、困ったときは当社に任せてくださいと言っていたじゃないか」と非難されるのは慣れっこであるが、3秒くらいは気落ちしてしまう。 S県にある総合福祉施設がコンペをやることになった。僕が勤めている会社のメイン事業は材提供なのだが、顧

    Everything you've ever Dreamed
    tsukamott
    tsukamott 2009/06/23
    希望の光
  • ジ・エンド・イズ・ザ・ビギニング・イズ・ジ・エンド- Everything You’ve Ever Dreamed

    「届かない思いや、報われない気持ちはどこへ行ってしまうのでしょうか」。僕の斜め前で青椒肉絲のピーマンを、解剖でもするような手付きで皿の縁へ避けていた総務のマヤちゃんが前触れもなくそう言うので僕は心を乱してしまう。言葉の末尾に半透明の疑問符のような曖昧さがあり、質問なのか独り言なのか、答えを求めているのかいないのか判断できなかったからだ。そして僕はなぜか遠く暗い宇宙を泳ぐ鯨のことを考え始めていた。 バカな宇宙人に手違いで拉致され、宇宙人A「キャトルミューティレーション!」宇宙人B「うわっキモ!地球人のアニメみたいな掛け声やめろよ〜」なんてコントの末にどこかの牛の身代わりにチンポコをくり抜かれ宇宙に遺棄された鯨。星の海を、行く先のない航海を、泳ぐ鯨。僕も宇宙鯨と同様に目的地を見つけられずにいる。 沈黙はいつも僕の背中を押す。なにか言わなければいけない気がしてくる。軽口で少女に陰毛の生えた程度の

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  • 4月から課長になる僕が知ってしまった会社の秘密- Everything You’ve Ever Dreamed

    バンドの初ライブ(http://d.hatena.ne.jp/Geheimagent/20090315/p1)後は仲間と酒をぐびぐびと飲み、居酒屋の壁紙をべりべりと剥がし、ギャルに股間を触らせてびんびんと勃起させようとした。そんなファンタスティックサタデーナイトが過ぎれば、「これからは普通のオッサンになりまーす」なんてキャンディーズ的宣言をしなくとも僕はロックンローラーから只のオッサン会社員へしゅんと戻ってしまう。ロックンロールの魔法は解けてしまう。しゅんといえばキュートなギャルに触られても頑なにしゅんと沈黙を守った誇り高き僕のチンポ、可哀想。そして海綿体に血液が流れこまなったという結果だけをみる風潮はいつだって僕を悲しませる。追い討ちをかけるギャルのお言葉、「キモーい」。 ロックがどこかで死んでいる平日の夜、ゴルフ焼けでウンコ色の顔をした上司に呼ばれ、僕は銀バエの如くぶぶぅと羽音をたてて

    4月から課長になる僕が知ってしまった会社の秘密- Everything You’ve Ever Dreamed
    tsukamott
    tsukamott 2009/03/25
    大して面白くもないネタで人気者になろうとするときに見せる表情
  • 私の異常なお見合い または私は如何にして心のタガを外しアナルパールの話をお見合いでするようになったか - Everything You’ve Ever Dreamed

    正月に話を持ちかけられて以来、「無理」「駄目」「嫌」「眠い」「多忙」といって断り続け、一時は逃げ切ったと思っていたのだが、母の執念たるや侮りがたく、「私の顔を立てろ」「誰が産んだと思ってる?」「金返せ」「親不孝者」という脅迫めいたメールを昼はスナック、夜はデニーズから、昼夜問わずドコモへ執拗に送り続けてくるものだから、日を追うごとに僕の精神は衰弱し、判断力は失われ、酒に逃げ、泥酔し、うっかり一度だけ「うるせーわかった」と返事をしてしまい、こないだの日曜はお見合い。相手は母の友人の25歳の娘さんで、漫画の格好をするのが趣味、らしい。コスプレ?他に情報はないのかと訊ねると母はふふと不穏な笑みを浮かべ、一枚の写真を一瞬見せ「あとは当日のお楽しみ」などとふざけたことを言うので眠れない夜が始まる。 で、当日。エクセレントなことに母と母の友人とその娘は待ち合わせの時間に待ち合わせ場所の喫茶店に到着して

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  • 君へ - Everything You’ve Ever Dreamed

    やあ、久しぶり。元気ですか?おかげさまで僕はあれ以来インポです。このあいだ酔っぱらった夜に君にメールを送ってしまいました。君に届くはずのメールは総務のマヤちゃんに届いていました。次の朝、総務ガールは僕に文句を言ってきました。僕はただ頭を下げて謝りました。 でもそれはいい。いつもは遠くから眺めているだけの、総務ガールの黒いニーソックス。膝頭をくるりと隠す憧れのニーソックス。夢にみるくらいに憧れた存在を間近に見れたのだからそれはいい。よくよく考えてみると君のアドレスを消してしまった僕が君へメールを送れるはずもなかったのだ。だから僕はこうして、朝のマクドナルドコーヒーを飲みながら君への手紙を書いている。 僕は悲しい。何かの間違いだと思うのだけれど、mixiで僕は君からアクセスを禁止されている。僕にとって鼻毛ほども役に立たない、たいして面白くもない、君の、可愛らしいmixi日記。僕は、そんな君の

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