伊坂幸太郎が「家族愛」を描くとこうなる、という作品。 誰1人作中人物は泣いたりしないし、自分を不幸と思っている人間もいない。 相変わらず軽快なストーリー運びと機智にあふれる会話。 なのに、どうしても泣ける箇所がいくつもあるのです。 伊坂さんって、案外アツイ人なのかもしれませんね。 タイトルの「重力ピエロ」は、空中ブランコを飛ぶピエロが一瞬だけ重力を忘れることが出来るように、どんな困難なことであっても必ず乗り越えられるという信念の例え。 さて、主人公たちの「困難」とは何なのでしょう? どんな風に乗り越えたのでしょう?それが読みどころです。 話は「私」と言う一人称で語られます。 「私」には「春」という名の弟がいる。 春は、母親がレイプされた時に身ごもった子供。 そして兄の私は遺伝子技術を扱う会社で働いている。 ある日、その会社が何物かに放火され、春は町のあちこちに描かれた落書きと放火との関連性
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