ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)のコードに反する言動をSNSなどでバッシングし、社会的な地位をキャンセルする「キャンセル・カルチャー」が日本でも世界(先進諸国)でも大きな問題になっている。だがこれは昨今の話ではなく、アメリカの編集者・作家ジョナサン・ローチ(1960年生まれ)の『表現の自由を脅すもの』(飯坂良明訳、角川選書)を読むと、1980年代後半から、欧米で「言論・表現の自由」に対する過剰な規制が行なわれるようになったことがわかる。 1993年に刊行された本書の原題は“Kindly Inquisitors: The New Attacks on Free Thought(親切な審問官 自由な考えへの新たな攻撃)”。Inquisitorsは「尋問者」の意味だが、異端審問を表わすラテン語の“Inquisitio”から派生し、中世後期から近代初期にかけてスペインなど欧州に広まった「
![30年前にすでに警告は発せられていた。“「社会正義」の名において現代の異端審問(宗教裁判)が行なわれている”](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/488dcede3c3550f75e1ae9927841cb0459365e5e/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fdol.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F3%2Fd%2F-%2Fimg_3dc1c54d767e4735b4fe9a9f0b1f621c61253.jpg)