ERPシステムではしばしばアップグレードが大きな問題となる。安定して動いているERPをアップグレードするのはIT部門にとって大仕事だ。WindowsのようなクライアントOSでもアップグレードによって互換性の問題が出て、特定のデバイスやアプリケーションが動作しないことがある。複数のモジュールで、ビジネスプロセスが複雑に絡まり合い、アーキテクチャの異なるシステムと接続されるERPでは、新規導入以上の作業になるケースもある。ERP最大手の独SAP幹部ですら「ペインフルだ」というほどだ。 このようなアップグレードを避けるためにSAPは2006年にSAP ERPを「アップグレードしません」と宣言した(参考記事:SAPは2010年までアップグレードしません宣言)。大規模なアップグレードはせずに、顧客が必要な機能だけを選んで追加できる「エンハンスメントパッケージ」を提供する方向に転じた。範囲を限定した機
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