まずは「天満の天神さん」の呼び名で親しまれている大阪天満宮へ。明治32年(1899)6月14日、川端康成は大阪天満宮の表門からほんの少し東、現在は料亭「相生楼」が建つ場所で生まれた。その門前に「川端康成生誕の地」の石碑が静かにたたずんでいる。大阪北区天満、当時の大阪市北区此花町のこの場所で、康成の父・栄吉は開業医として医院を営んでいたが、肺結核を患い、康成が1歳になるかならない内に死去。母・ゲンの実家近く(現在の東淀川区に)へ転居したが、その母も明治34年(1901)、1月に亡くなった。幼くして両親とも亡くした康成は翌年、祖父母に引き取られ、現在の茨木市宿久庄、当時の大阪府三島郡豊川村へと移り住む。ではここから、阪急電車で茨木へ。 阪急電鉄大阪梅田駅から約20分の茨木市。約100年前、大阪から祖父母と共にこの地に移り住んだ康成は身体が弱かったものの、祖父母に可愛がられて育ったという。明治3