雑貨屋に入るともう母の日のコーナーが設えられていて、カーネーションが描かれた綺麗なハンカチが飾られていた。薔薇や紫陽花が描かれているものもあった。パステルカラーのピンクや紫の美しい扇子も置いてあった。 こんなに綺麗で美しい品々を、買って贈りたいという気持ちになった。でも私には買って贈りたいと思えるような母親がいないと思うと、哀しくなって涙が出た。 贈りたいと思える母親がいたなら、どれだけ幸せなことだろう。「あら、いいわね」と喜んでくれて、その顔を見てこちらも嬉しくなれたなら、どれだけ幸せなことなんだろう。 私だって、本当は、母の日に贈り物をする娘になりたかった。 いわゆる“いい子”だった私は、子供の頃から、鬱病で倒れる30代半ばまで、事あるごとにせっせと母親に贈り物をしてきた。 しかし彼女の口から放たれるのは「あんたは何もしてくれない!」「あたしは子供に恵まれなかった!」「あんたは親不孝だ