“絶滅の恐れ”が指摘され、国際取引禁止の議論のまな板に載せられた大西洋・地中海産クロマグロ。3月にドーハで開催されたワシントン条約締約国会議で、禁輸案の採択は免れたものの、日本人になじみの深い食材が、パンダやジュゴンなどと同列に論じられたことへの衝撃は大きい。クロマグロはここ10年で畜養技術が大幅に発達し、回転すしなどで手軽に食べられるようになった一方、価格崩壊で乱獲が増えているのも事実。世界中を巻き込んだクロマグロ騒動、日本有数の遠洋マグロ基地を誇る神奈川県三浦市・三崎港を歩き、今後の展望を探った。(今泉有美子)うずたかく積まれた真っ白なマグロたち 三浦半島の先端に位置する日本有数の遠洋漁業基地・三崎港。世界中の遠洋漁船が出入りする漁港で、なかでも花形はクロマグロだ。 大きくて新鮮なマグロが船から運び出される様子を想像したが、実際は少し違う。マグロは捕獲された時点でエラや内臓などを取り除