ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (4)

  • ぐっと胸が温まる「レイモンド・カーヴァー傑作選(Carver's Dozen)」

    村上春樹と池澤夏樹に感謝。 優れた小説家の仕事は、小説を書くだけでは不十分で、他の作品を紹介することにある。優れた書き手は、優れた読み手でもあるから。池澤夏樹の小説はもう読まないが、彼が選んだ「世界文学全集」は鉱脈を見つける助けになった。村上春樹の小説はもう読まないが、彼が訳したレイモンド・カーヴァーのこの短篇集は素晴らしい。 出会いは、池澤夏樹が「短篇コレクションI」に入れた「ささやかだけど、役に立つこと」。これはグッとくる、というか涙した。これほど平易な言葉で、これほど深いところまで届くのか、と驚きながら湧いてくる気持ちに感情を委ねた。 乾いた文体でレポートされたような"悲劇"。感情を具体的な語で指さず、淡々と行動で記録してゆき、ラストの最後の、「ささやかだけど、役にたつこと」のところで綿密に描写する。そのワンシーンだけが読後ずっと後を引くという仕掛け。これは狙って書いて、狙って訳して

    ぐっと胸が温まる「レイモンド・カーヴァー傑作選(Carver's Dozen)」
  • 3週間でやりなおす「高校数学の教科書」

    習うより慣れろ、学ぶより真似ろ。 やりなおし数学シリーズ。いつもと違うアタマの部分をカッカさせながら、3週間で一気通貫したぞ。もとは小飼弾さんへの質問「数学をやりなおす最適のテキストは?」から始まる。打てば響くように、吉田武「オイラーの贈物」が返ってくる……が、これには幾度も挫折しているので、「も少し入りやすいものを」リクエストしたら、これになった。 書の特徴は、「つながり」。アラカルト方式を改め、高校数学の体系を一化しているという。なるほど、上巻の「数と式」の和と差の積の形に半ば強引に持ち込むテクは、下巻の積分の展開でガンガン使うし、図形と関数はベクトルと行列の基礎訓練だったことに気づかされる。ベクトルが行列に、行列が確率行列に、さらに行列がθの回転運動や相似変換に「つながっている」ことが「分かった」とき、目の前がばばばーーーっと広がり、強制覚醒させられる。 上巻 1章 数と式 2章

    3週間でやりなおす「高校数学の教科書」
  • 子どもをダシにオトナが遊ぶ「子どもが体験するべき50の危険なこと」

    突然だが、掃除機オナニーというものをご存知だろうか。 T型ヘッドを取り外した吸込み口に突っ込んで、スイッチオンして、激しい震動に身を任せるという、非常に危険な行為だ。吸込み口は、ほぼ詰まった状態になる。そのわずかな隙間をムリヤリ空気が通ろうとするとき発生する気流が、すさまじい勢いで"揺さぶる"のだ。大きすぎて入らない御仁は蛇腹でやるとよろしいって開高健が言ってた。快楽とは摩擦ではなく震動である、これに気づくと世界が変わる。 「子どもが体験するべき50の危険なこと」は、もちろんそんな提案はしない。だが、「電気掃除機で遊ぼう」の件で懐かしく思い出した。ここでは、吸込み口に大きなビンを近づけて音を出したり、細長い紙を吸い込ませて震動させたりする「実験」を紹介する。キチンと危険性を掲げ、「目が見えなくなる」(要するに、目玉が吸い込まれる)リスクも説明する。 掃除機のホースを絶対に顔に近づけないこと

    子どもをダシにオトナが遊ぶ「子どもが体験するべき50の危険なこと」
    tsuyudamaeki
    tsuyudamaeki 2011/06/16
    TEDプレゼン(2007) http://on.ted.com/9LiK
  • マクニール「世界史」はスゴ本

    800ページで世界史を概観できる名著。 「シヴィライゼーション」という文明のシミュレーションゲームがある。暇つぶしのつもりで始めたのに、暇じゃない時間まで潰されてしまう危険なゲームだ。マクニール「世界史」もそう。それからどうなる?なんでそうなる?に次々と答えてくれる書は中毒性が高く、読むシヴィライゼーションといってもいい。 ゲームのように面白がれないが、ゲームのように熱中して、マクニール「世界史」の最新完訳版を読む。世界で40年以上にわたって読み続けられており、blog/twitter/tumblr でスゴいスゴいと噂には聞いていたが、たしかに素晴らしい。何が良いかっていうと、「眠くならない歴史」であるところ。 話は少しさかのぼる。流行に乗っかって教科書開いたはいいが、あれだね、睡眠導入剤として最適だね、山川世界史。パブロフのなんちゃらのように、開いた途端、急速に眠くなる。「メソポタミア

    マクニール「世界史」はスゴ本
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