023K2007_KP_LE_C_jp.doc 1 私を突き動かすもの ピナ・バウシュ 自分の幼い頃、思春期や学生時代、それからダンサー、振付家として歩んで来たこ れまでの時間を振り返る時、私はいくつかの情景を思い浮かべます。そうした思い出 は音や匂いに満ちています。そして、もちろんのこと、私の人生に関わった人々、そし て今もともにいる人々で満ちています。これら過去の情景・記憶は繰り返し戻って来て、 居場所を探しています。私が子どもの頃に体験したことのいくつかは、かなり後になっ て舞台上に再び姿を現しています。 それでは、私の幼い頃の話から始めましょう【Photo1〜3】。 忘れがたいのは戦争の体験です。ゾーリンゲンの町は爆撃で激しく破壊されました。 空襲警報が鳴ると、私たちは庭の小さな防空壕へ避難しなければなりませんでした。 一度などは家の一部分に爆弾が落ちてきたこともありましたが、全