今年で4年目、5回目となる『F/T(フェスティバル/トーキョー)』。秋に定着したこの大規模な舞台芸術の祭典は、日本の、あるいは世界の演劇シーンにおいても重要な存在感を獲得しつつある。最初はヨーロッパの演劇を日本に紹介するフェスティバルという印象のあった『F/T』だが、近年はアジアという視座が前景化し、新しいプラットフォームを構築しようとしているようにも見える。 変化し続ける世の中にあって、アートに、そして演劇に何ができるのかを常に模索しながら、現場を動かしてきたディレクター・相馬千秋。この芯の強い思想と行動力の持ち主なくして、『F/T』は存続しえなかったのではないか。特に「震災以後」という厳しい時代の中で、さらには領土問題も緊迫した状況を迎えている今、この現実は彼女の目にどのように映っているのだろう? ノーベル賞作家、エルフリーデ・イェリネクを特集する『F/T12』の見所や、『F/T』のこ