■原画の保存について 最初からデジタルで描かれたまんが作品は別として、紙に描かれたまんがの原画は、そもそも保存しようにも、長期の保存に耐えない面がある。物理的に劣化する要素が多いのだ。たとえば、修正などに用いたホワイト(ポスターカラー、修正液など)は、すぐにはげ落ちる。まだ落ちていない場合でも、年月が経つと下のインクが浮いてきて灰色になったり、表面が汚れて黒くなったりしているケースは非常に多い。問題が小さければ修復可能だが、効果線などをホワイトで描いていた場合は、元通りに引き直すことはほとんど不可能に近い。 まんが家によっては、原稿を修正するのに原稿用紙の切り貼りをする人がいる。その際にセロハンテープを使うケースがよくあるが、これも年月で劣化して硬化する上に、茶色い痕を残す。劣化したために切り貼り箇所がはがれて、どこかへ紛失している場合もある。切り貼りの境目にホワイトを盛っていた場合など、