(IEEI版) 日本で大きく報道されることはなかったが、2012年10月末に米国東海岸に上陸したハリケーン・サンディは、ニューヨーク市を含め合計850万軒という過去最大規模の停電を引き起こした。ニューヨークでも計画停電の実施に加え、ほぼ1カ月間停電の続いた地域があったなど、被害の全貌が明らかになりつつある。 一方わが国では2011年3月11日の東日本大震災直後の首都圏での停電や延べ10日間にわたって行われた計画停電が記憶に新しい。2010年代に入って発生したこれらの大停電は、大規模自然災害によって大都市圏で生じたという点で似通っている。サンディによる停電被害と復旧の経緯を振り返りながら、東日本大震災後に生じた「停電と電力システム」にかかわる国内の議論を検証してみたい。 1・サンディによる停電被害 10月29日から30日にかけて米国を襲ったハリケーン・サンディは、最盛時の中心気圧940hPa