ハッブルやチャンドラといった高精度の宇宙望遠鏡のおかげで、はるか彼方の星団や銀河、ブラックホールらしき天体すら捉えられるようになり、人類にとって宇宙はずいぶん近くなったような気がする。だが、やはり「気がする」だけであって、実際にはごくごく身近な太陽系内の惑星や衛星、月についてすらも多くの謎が残されている。今回紹介する画像は、太陽系内に存在する天体の中でも、とくに謎めいた特徴を持つ海王星の衛星・トリトン(Triton)の貴重な擬似カラー写真だ。 1988年8月24日にボイジャー2号(Voyager 2)によって撮影されたトリトンの南半球部分。緑、紫、および紫外線フィルタを通して撮影された擬似カラー画像。トリトンの鮮明な画像はこのときに撮影された一連のものが最初で最後 トリトンは太陽系内に存在する天体の中で"最も冷たい星"だと推測されている。その外気温はマイナス230度前後、冥王星よりも寒い。