今日の環境問題への意識の高まりにより、環境問題を社会経済的に評価したいという社会的要請が高まりつつある。しかしながら、これまでの環境評価は自然科学的な評価に終始しており、『開発か保護か』という対立への解決策を未だ見出せない状況にある。 環境経済評価への期待が高まっているのには、5つの背景が存在するからである。まず第1点が、直接かつ直ちに人々の健康と生命に影響を与える公害型環境汚染が環境問題の中での比重を低下させてきたこと(環境と経済発展の調和の志向)、第2点が、環境問題を解決するための手段として経済的機能あるいは動機を有効に利用するという考え方が広まってきていること(環境政策の経済手段への期待)、第3点が、環境問題における生態系劣化や破壊問題への対応が社会的に重要になってきていること(生態系問題の重要性)、第4点が、分権型社会における直接民主主義の一形態として環境経済評価が期待されてい