近藤 誠、廣川 信隆 東京大学大学院医学系研究科 DOI:10.14931/bsd.789 原稿受付日:2012年3月14日 原稿完成日:2012年4月28日 担当編集委員:村上 富士夫(大阪大学 大学院生命機能研究科) 神経細胞の軸索は時に1mにも及ぶ細長い突起であるが、この軸索内ではタンパク質の合成がほとんど行われない。従って、軸索内及びシナプス領域で必要なほとんどのタンパク質は細胞体で合成された後、軸索の中を輸送される必要がある。この軸索内での物質輸送を軸索輸送と呼ぶ。軸索輸送では、モータータンパク質(キネシン、ダイニン)によって様々な膜小器官やタンパク質複合体が微小管に沿って両方向性に運ばれており、神経細胞の生存、形態形成および機能発現にとって基本的でかつ重要な役割を果たしている。軸索では、微小管の方向がそろっており、+(プラス)端が軸索末端に、-(マイナス)端が細胞体に向いている