ジュネット『物語のディスクール』要約 (『物語の詩学』訳者による) 物語内容/物語言説/語り(historie/récit/narration) ジュネットの物語論の基礎となる概念。一般に物語(レシ)と呼ばれているものについて区別するべきその三つの相。物語内容は、物語によって報告された内容、すなわち語られた出来事の総体を指し、物語世界(diégèse)という概念もこれとほぼ等しい意味で用いられる。物語言説はそれらの出来事を喚起する言説(テクスト)を指す。語り(もしくは物語行為)は物語言説を生じさせるところを語るという行為そのもの、さらにこの行為が行われる状況全体を指す(15-17ページ)。物語言説の分析を構成するのは、それゆえ以下に列挙する時間・叙法・態の三つの範疇である。 1時間(temps)。物語言説の時間(書かれたテクストの場合は、それの読みから換喩的に描き出される擬似的な時間)と物