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  • 丸山眞男研究の新たな動向

    <資料のコピーや構想メモから校正刷りまで、物を捨てない性格だった丸山眞男。そのことが丸山眞男研究をこれからも発展させ続ける可能性を持つ> 『リベラリストの肖像』(二〇〇六年)を刊行し、サントリー学芸賞を頂いてから、早くも十四年がたった。この旧著は、原則としてすでに公刊されている丸山の著作・講義録と対談・座談会、そして自筆の手稿や書簡を翻刻したを資料に用いてまとめたものである。 しかし、書いていたときにはそれだけを参考にしたわけではない。丸山眞男の旧蔵書と、自宅に遺された草稿・ノート・メモの類は、すべて東京女子大学に寄贈され、丸山眞男記念比較思想研究センターの丸山眞男文庫が整理・保存にあたっている。現在ではその多くが公開され、ウェブサイトから簡単に閲覧できるものも少なくない。その整理を手伝うのと並行しながら執筆していたので、未公開の資料を引用することは避けたものの、そのとき見た資料から多く

    丸山眞男研究の新たな動向
  • カタルーニャ「独立」は第2のスペイン内戦を呼ぶか

    「違憲」の住民投票を阻止するため投票所になだれ込む警官隊(10月1日、スペインのサン・ホリア・デ・ラミス) Juan Medina-REUTERS <カタルーニャの独立をめぐるスペイン中央政府との対立は、もはや交渉で解決可能なレベルではなさそうだ> スペイン中央政府とカタルーニャ州政府は過去5年間、カタルーニャの独立をめぐり対立してきた。住民投票の間もその後も、互いに一歩も引かない構えだ。 カタルーニャ州政府は、住民投票を違憲とするスペイン政府の反対を押し切って、10月1日に独立の是非を問う住民投票を行った。カルレス・プッチダモン州首相は同日夜、同州は独立国家となる権利を獲得したと宣言。一方では、投票を阻止しようとする警官隊と住民が衝突。州政府によると住民400人以上が負傷した。カタルーニャ側は、「賛成」多数となれば48時間以内にも独立を宣言するとしている。 中央政府はこれまで、カタルーニ

    カタルーニャ「独立」は第2のスペイン内戦を呼ぶか
  • ルワンダ大虐殺の記憶が政権交代を阻む

    カガメは憲法を改正し、最長で34年まで大統領の座にいられるようにした Chip Somodevilla/GETTY IMAGES <大統領選で3選目を目指すカガメに人権弾圧疑惑。だが国を発展に導いた功績を評価する声は大きい> 6月、ルワンダの首都キガリ。フランシス・ヌドゥウィマナは自分が経営する料品店の表に座り、8月4日の大統領選に求めるのは政権交代だと語った。 「(現職のポール・)カガメにはうんざり」と言うヌドゥウィマナは、多数派民族フツの出身。「でも大統領を批判したら、国を分断するのかと政府ににらまれ、投獄されるか殺される」 少数派民族ツチの出身で00年から大統領の座にあるカガメが再選を目指すなか、多くの国民、特にフツは不安を募らせる。彼らに言わせれば、現政権は反対意見を封じている。独裁制への不安もある。カガメは3選を禁じた憲法を15年に国民投票で改正し、最長34年まで権力の座にとど

    ルワンダ大虐殺の記憶が政権交代を阻む
  • ドイツ議会がアルメニア人「虐殺」を認定、の意味

    ドイツ連邦議会が1915年のアルメニア人迫害を「オスマン・トルコによるアルメニア人虐殺」だったと認定したことで、トルコ政府は激怒している。将来のEU加盟をにらみ、難民問題の解消でも協力してきたドイツだからこそ尚更だ。両国関係、ひいては欧州情勢にも影響を与えるだろう> 写真は、「虐殺」認定に感謝するアルメニア系ドイツ人 トルコにとって、外国と揉めてばかりの1年だった。アメリカ政府はISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)掃討作戦の一環で、シリアのクルド人武装勢力と手を組んだ。彼らはトルコでテロを行っている勢力だ、と主張してきたトルコは激怒した。ロシアとの関係は、領空を侵犯したロシアの戦闘機を撃ち落とした昨年11月以降一気に冷え込んだ。さらにドイツテレビで笑い者にされたと感じたレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は、ドイツ人コメディアンのヤン・ベーマーマンを告訴した。 【参考記事】ト

    ドイツ議会がアルメニア人「虐殺」を認定、の意味
  • トランプ勝利で深まる、共和党「崩壊の危機」

    深まる混迷 トランプはこのまま予備選で代議員数の過半数を獲得して統一候補になるかもしれない Chris Bergin-REUTERS 予備選最大のヤマ場「スーパーチューズデー」の結果、民主党はヒラリー・クリントン候補が勝利へ向けて大きく歩を進めた。ヒラリーの勝利演説は、選を意識した威風堂々としたもので、すでに選挙戦のターゲットを「対共和党」に向けてきている。 一方で、対する共和党は混迷の中にある。いや「崩壊の危機」と言ってもいい。 ドナルド・トランプ候補が多くの州で勝利したということが問題なのではない。この時点では、2位以下の候補も代議員数を獲得できるので、代議員数ではまだ他の候補も追撃可能だし、そもそも今回の「トランプの勝ち方」は政界やメディアの関係者にとっては「想定内」の範囲だったからだ。 問題は、他の候補の動向だ。 まず、テッド・クルーズ候補だが、地元テキサスでは「仮に負けたら撤退

    トランプ勝利で深まる、共和党「崩壊の危機」
  • ポーランドの「プーチン化」に怯えるEU

    要注意 ポーランドに「革命的変化」をもたらすという「法と正義」のシドゥウォ首相 Laszlo Balogh-REUTERS ポーランドは冷戦後長いこと、旧東欧における民主主義のお手として広く認められてきた。しかし、右派野党の「法と正義(PiS)」が昨年10月の議会選挙で政権を奪取して以降、それが大きく変わろうとしている。 【参考記事】ベルリンの壁崩壊20年、中欧の失望 カチンスキ元首相率いるPiSは政権の座に就くや、行政、司法、メディアに対する締め付けを強化。全土に大規模な抗議デモが広がっただけでなく、欧州連合(EU)への警鐘にもなっている。だが、経済的にも大きくNATO(北大西洋条約機構)の同盟国である国に対し、欧州委員会が制裁措置を科す可能性はほとんどない。 国際情勢を専門とするシンクタンク、アトランティック・カウンシル主催の年次カンファレンスのポーランド理事長を務めるミカル・コボス

    ポーランドの「プーチン化」に怯えるEU
  • 脱「敗戦国」へ、ドイツの選択

    ドイツ連邦議会が先月に自国軍の国外派兵を可決した審議で特筆すべきは、拍子抜けするほどあっさり承認されたことだ。議会はテロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)掃討作戦に協力するため、シリアなどへ1200人規模の派兵を可能にする政府案を圧倒的多数で可決した。ドイツ軍はアメリカ主導の有志連合に合流して後方支援や偵察に当たるが、戦闘には加わらない。 ドイツ軍はNATO軍の一員としてヨーロッパの防衛義務を負うが、NATO域外への派兵には議会の事前承認が必要だ。今回、政府案がすんなり承認されたことは注目に値する。 ほんの数年前なら国民の大部分が受け入れなかったはずだが、今回は反対派も諦め顔だった。野党・左派党なども加わった反戦デモが行われたが、採決にはほとんど影響を与えられないだろうと、同党の外交政策責任者であるシュテファン・リービッヒ議員は採決前夜に語っていた。国外の軍事作戦への参加に「ドイ

    脱「敗戦国」へ、ドイツの選択
  • サウディ・イラン対立の深刻度

    シーア派の人々の襲撃を受けて出火するテヘランのサウジアラビア大使館 ISNA-Mehdi Ghasemi-TIMA-REUTERS サウディアラビアでのシーア派宗教指導者ニムル師の処刑、在テヘラン・サウディ大使館への抗議の暴徒化、イラン・サウディ間の国交断絶、親サウディ諸国の対イラン断交――。年頭から急に緊迫化した中東情勢に、友人がフェースブックでこう嘆いた。 「いつも『問題は宗派対立じゃない』といい続けてきたけど、またくりかえさなきゃならないのか」。 友人の嘆きのとおり、日のメディアには、イラン=シーア派、サウディ=スンナ派の宗派対立との論調が相次ぐ。だが、英インディペンデント紙にロンドン大学比較哲学の教授が書いているように、「イランとサウディ間の緊張関係は宗教とほとんど関係ない」。むしろ「両国関係は地域覇権をめぐるもの」であり、「神なき世界政治の現実」だと、ムガッダム教授は言う。サウ

  • 台湾ではもう「反中か親中か」は意味がない

    それでも選挙は 馬英九の後継者として来年の総統選挙に出馬する与党・国民党の朱立倫は、中台首脳会談の評価がどうであれ劣勢が見込まれている Pichi Chuang-REUTERS 2015年11月7日、シンガポールで、台湾の馬英九総統と中国の習近平国家主席の会談が行われた。中華人民共和国成立から66年で初となる中台首脳の会談という歴史的舞台となったが、来年1月の選挙で野党転落がほぼ確実視されている、レームダックの国民党政権が主導した会談に意味があるのか。対中接近を警戒する台湾の人々は、馬英九の最後っ屁のような中台首脳会談を支持しないだろう。そう思われた方も多いのではないだろうか。 ところが意外や意外、各種世論調査では中台首脳会談支持の回答が50%を超えている。「台湾市民は対中接近に批判的なはず」という思い込みでは理解できない結果となった。馬英九の最後っ屁を支持する台湾市民、この状況はどのよう

    台湾ではもう「反中か親中か」は意味がない
  • 虐待の定義を変えるサウジ家政婦の現実

    繰り返される事件 サウジアラビアで虐待されて負傷し病院に収容されたインドネシア人家政婦(05年) Zainal Abd Halim-REUTERS 衝撃的なニュースだった。サウジアラビアで家政婦として働いていたインド人女性が10月、雇用主から手を切り落とされる事件が起こった。首都リヤドの病院に横たわるカストゥリ・ムリナシラムは、テレビの前でこう訴えた──雇い主に辞めたいと願い出たが聞き入れてもらえず閉じ込められた。サリーをロープ代わりに窓から逃げようとしたところ右手を切断され、3階から転落した。 サウジアラビアで家政婦が残酷な虐待を受ける事件は、これが初めてではない。2010年にはスリランカ人家政婦が雇い主から体にくぎを打たれたり、インドネシア人の家政婦が雇い主に顔をハサミで切り付けられたうえアイロンを押し当てられたりした。昨年は、フィリピン人家政婦が雇い主の母親から熱湯をかけられ重傷を負

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  • ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

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  • ヨルダン川西岸に入植するアメリカ人

    パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区でイスラエルによる入植が拡大していることはよく伝えられる。だが入植者たちの中にアメリカ人が相当数いることはあまり知られていないだろう。最新の調査で、その割合が15%であることが分かった。 英オックスフォード大学の講師サラ・ヤエル・ハーシュホーンによれば、西岸には約40万人の入植者が住んでいるが、このうち6万人ほどがユダヤ系アメリカ人だという。西岸に暮らすアメリカ国籍の住人の数は、これまで知られていなかった。 その数は「入植者人口における割合としても、イスラエルに移住したユダヤ系アメリカ人の割合としても際立って多い」と、ハーシュホーンはエルサレムで開催された会議で指摘した。 これまでの統計がないために、この6万人という数字が以前と比べて目立って多いのか少ないのかは分からない。それでも、93年にオスロ合意が結ばれた頃に11万人前後だった入植者数が、今では264

    ヨルダン川西岸に入植するアメリカ人
  • 同性愛への寛容度でわかる日本の世代間分裂

    急速な変化 20代の同性愛への寛容度は同性婚が合法の国々とほぼ同じレベル AleksandarNakic-iStockphoto 東京都渋谷区では、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める条例が施行されている(同性パートナーシップ条例)。日では同性婚は法的に認められていないが、「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行することで、性的少数者の権利を保護するためだ。 今世界では、同性婚を合法とする社会が増えてきている。イギリス、フランス、オランダ、スペイン、スウェーデンなどがそうだ。同性婚をめぐって長らく社会的、宗教的な論争が続いてきたアメリカでも、今年6月に連邦最高裁が同性婚を合憲とする判断を示した。 これらの国では概して、同性愛への寛容度は高い。2010~14年に各国の研究者が共同で実施した『世界価値観調査』によると、10段階で表した寛容度の平均点はスウェーデンが8.5点、オランダ

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  • 安保法制論争を「脱神話化」する

    なぜ根拠のない予言と安保関連法案への感情的な嫌悪感が広がってしまったのか(8月30日の国会周辺デモ) Thomas Peter- REUTERS ■魔女狩りの世界へ? 2015年8月30日に、安保関連法案の廃案を求める大規模なデモが国会周辺で行われた。安保関連法案を批判する人々の熱情はエスカレートして、感情的な叫び声が鳴り響いている。一部の声は、もはや理性的な主張の域を超えてしまった。 テレビ朝日の報道番組「報道ステーション」が安保法制に関する憲法学者へのアンケート調査として、「一般に集団的自衛権の行使は日国憲法に違反すると考えますか?」という質問をだした。これに対して井上武史九州大学准教授が、「憲法には、集団的自衛権の行使について明確な禁止規定は存在しない」と答え、「それゆえ、集団的自衛権の行使を明らかに違憲と断定する根拠は見いだせない」と述べると、その後になんと怒りの感情をあらわにし

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  • ドイツが「国境開放」「難民歓迎」を1週間でやめた理由

    ドイツが緊急措置として国境を開放し難民を盛大に歓迎してからわずか1週間。再び国境を閉ざすと発表した。難民にとっては衝撃的な政策転換だ。次から次へと押し寄せる難民の数は予想をはるかに超えており、とても対処しきれなくなったという。 今後は、この一週間の間に難民が殺到しているオーストリアとの国境近くに検問所を置く。また難民の大半がドイツへの入国手段として使ってきたオーストリアからの国際列車も運行を停止。ドイツのミュンヘンには先週土曜だけで13,000人の難民が到着し、今年の難民受け入れ数は80万人にも上るとみられている。 トマス・デメジエール独内相がロイター通信に語ったところによれば、こうした国境管理の目的は「ドイツへの難民の流入ペースを抑え、入国した人々を秩序立った手続きで迎えるため」だという。また「難民は保護を受ける国を選ぶことはできない」ことを理解すべきだとも語った。今後オーストリアとドイ

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  • デンマーク「難民にとって魅力のない国」を目指して

    難民を見捨てるな 反難民に転じた政府に抗議するデンマーク市民 Emil Hougaard/Scanpix Denmark-REUTERS デンマークの移民・統合・住宅省は今週、難民の流入阻止を狙った広告キャンペーンを開始した。「デンマークは難民に関する規制を全面的に強化する」という内容で、レバノンで発行されている4つの新聞にアラビア語と英語で掲載された。 広告にはさらに、新たに入国する難民向けの支援金を最大で50%削減する法案を議会で可決したこと、永住権を獲得するために必要な言語力の引き上げや、永住権取得までの待機期間を最短でも5年とする、といった条件が列挙されている。仮にデンマークでの一時的な保護が認められたとしても、最初の1年間は家族を呼び寄せることができない。 ヨーロッパには今、移民や難民が前代未聞の規模で流入している。ドイツやオーストリアは彼らを温かく歓迎し、支援の輪はフランスやイ

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  • 首相談話についても、アメリカ人なので語りません | パックン(パトリック・ハーラン) | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    お待たせしました! 大好評の「むかつくアメリカ人シリーズ」第二弾! 前回は憲法や安保法案をテーマにしたが、今回は首相談話を取り上げようと思っている。また微妙な話題だからまたお断りから: まず、覚えておいてほしいのは、僕は日が大好きってこと! 大人になってこの国を選び、日に住んでいる。日人女性と結婚し、日人の子供が2人いる。そして、日に骨をうずめる! 気持ちの大半は日人だし、心から日を愛している。自分でも驚きだが、日での生活が僕の人生の半分を占める。 しかし、僕がアメリカ人であることも忘れてはならない。もちろん、過去の戦争の責任は日単独のものではない。戦前も、戦時中も、戦後でさえアメリカは山ほど悪いことをしている。この後「お詫び」の話がでるけど、「まずはアメリカからどうぞ」と言われて当然だ。当にひどかった(今もひどい)と思う。代表として心からお詫びします。 でも、僕の謝罪

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  • 欧州難民危機で、スロバキアがイスラム難民の受け入れを拒否

    スロバキアが受け入れるのはキリスト教徒の難民だけで、イスラム教徒は受け入れない──スロバキア内務省広報官はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)にこう語った。「スロバキアにはモスクが足りないので、イスラム教徒の難民は落ち着かないだろう」というのが、その理由だ。 スロバキアは現在、トルコ、イタリア、ギリシャの難民キャンプで暮らす難民や移住希望者のうち200人を受け入れることになっている。これは欧州の「玄関口」として難民が集中しているイタリアとギリシャの負担を軽減するためにEU(欧州連合)が加盟各国に割り当てた数。最終的には、EU全体で4万人の受け入れを目指す。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、今年7月の1カ月間にシリア内戦から逃れてきた難民など5万242人がギリシャに押し寄せていると発表した。これは昨年1年間にギリシャに来た難民の総数4万3500人よりも多い。 スロバキア内務省の

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  • ロシアがクリミアの次に狙うバルト3国

    1991年に当時のソ連がバルト3国の独立を承認したのは合憲だったか違憲だったか、ロシア検察庁が再検証の作業に入った。 ロシアのインタファクス通信の報道によると、ロシア連邦議会の議員2人が、検察庁にあらためて調査するよう求めたという。独立を取り消すつもりとも受け取れるこの動きに、リトアニアの外務高官は「ばかげた挑発だ」と反発している。 リトアニア、ラトビア、エストニアのバルト3国は、1940年からソ連が崩壊する91年までソ連領だった。3国共、独立後はユーロに参加し、西側の一員としてやってきた。ラトビアとエストニアは多くのロシア系住民を抱えているが、リトアニアではロシア語を話す住民は比較的少ない。 先週ロシアでは、似たようなケースで「違憲」の判断が示されたばかり。ロシアは54年ウクライナにクリミアを譲渡したが、検察庁は先週これを「違憲」だったと判断した。昨年のロシアのクリミア併合を追認するよう

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  • EU離脱後のギリシャ

    EUに残りたい ギリシャ国旗(左)とEUの旗を掲げて国会議事堂に向かう人々 Yannis Behrakis-REUTERS イギリスはEU(欧州連合)を離脱すべきだ、と叫ぶ人々は、EU非加盟のノルウェーやスイスを例に挙げ、EUなどなくても国家は繁栄できると主張する。 しかし、EU離脱の瀬戸際まで来ているギリシャの政治家たちは、離脱後のビジョンについて多くを語らない。 その理由は簡単だ。大半のシナリオがあまりにも暗いからだ。世界にとっても他人事ではない。EU離脱後のギリシャが辿りそうな運命を、先例になりそうな他国の例から占うと──。 トルコ ギリシャ人は聞きたくないだろうが、彼らの宿敵トルコは、「最良のシナリオ」を提供してくれそうだ。トルコはEUの外で繁栄してきた。2012年までの10年間、トルコの経済成長率は年率5%で推移した。その後は3%まで減速したが、それでも同時期に縮小していたユーロ

    EU離脱後のギリシャ