アナーキストの大杉栄らが思想文芸誌「近代思想」を発刊して今年で100年。その雑誌巻頭を飾った挿絵の作者は、実は日本最初のアニメーション作家だった――。来月、東京で開かれる「大杉栄と仲間たち――『近代思想』創刊100年記念集会」で、こんな発表が行われる。 研究をまとめたのは、日本学術振興会特別研究員の足立元さん(日本近現代美術史)。挿絵は1912年の発刊時から「近代思想」を毎号飾っていたもので、乱れた髪の労働者が手の鎖を引きちぎろうとしている図柄だ。 この作者については、発行人の荒畑寒村が「幸内(こううち)純一という青年」と60年代に述懐したことから名は判明していたが、研究ジャンルが異なることもあり、同名の漫画家・アニメーション作家と結びつける人はあまりいなかった。 幸内は1886年生まれ。1917年に日本初とされるアニメーションの一つ「なまくら刀」を作った後は新聞社の漫画記者となり、政治漫