市野川です。本日は一つ、私にとっては心が重たいことについて、しかし、この場をお借りして、私なりに考えていることについて述べさせていただきたいと思います。 1984年4月、新入生歓迎合宿のため山中湖に行っていた東大生6名が、夜中に酔った挙げ句、氷のまだはっていた冷たい湖にボートで漕ぎ出し、そのうちの1名の所業が原因でボートは転覆。その1名だけは生き残ったが、残りの5名は水死する、という事件がおきました。この事件は、当時、マスコミでも大きく取りあげられましたが、生き残った1名というのは、私に他ならず、亡くなったのは私の友人たちでした。 先ごろ、羽入辰郎氏が、前著『マックス・ヴェーバーの犯罪』に続き、『学問とは何か』という本を、ミネルヴァ書房から上梓しました。 前著の『犯罪』に対して全面的な批判を向けた折原浩氏に対する全面的な反批判として、この近著は書かれているのですが、この本の中で羽入氏は、本