2019年11月19日のブックマーク (1件)

  • ぬくもりの奴隷 - 「童貞のまま結婚した男」の記録

    手を伸ばせば届く距離、 だけれども手を伸ばすことを恐れていた。 触れてしまったら最後、 そのぬくもりを失う恐怖に包まれてしまう。 冷たくて、 辛くて、 苦しくて、 だから少しだけ手を伸ばしてみる。 暗くて寒い木陰から、 恐る恐る手を伸ばしてみる。 指先が少しだけ木漏れ日に触れた。 じわりと伝わる温もり、 その魔力に心を奪われて、 今度はグッと手を伸ばす。 「どうやら大丈夫みたい」 そのぬくもりに体を預けてみることにした。 冷え切った心と体、 それを芯まで温めてくれる。 「もう大丈夫」 心から安心して光の中に飛び込む。 やがてそのぬくもりが当たり前になって、 それを守る努力をしなくなる。 そうすると、 徐々にぬくもりは失われていく。 足先から徐々に冷えてくる。 心まで到達するのは時間の問題だ。 「どうやら時間切れみたい」 また暗闇の中、 かろうじて見えるのは自分の足元だけ、 あのぬくもりが恋

    ぬくもりの奴隷 - 「童貞のまま結婚した男」の記録