神頼み 妻の父親は二十年ほど前に胃癌で亡くなったのですが、高齢のためか進行が遅く、お医者さんの見立てよりも長く生きることが出来ました。 病院は終末医療を受けるに相応しいホスピスを紹介し、妻の兄姉は父親を転院させることを相談したそうですが、義父は住み慣れた家で最後の時間を過ごしたいと願い、その願いどおりに亡くなるまでの十カ月余り、家族水入らずの穏やかな日々を送ることができました。 田舎の付き合いでは、近所の家の事情は筒抜けで、義父の病気もあっという間に周囲の知るところとなりました。その中には、民間療法や祈祷師(!)による厄払いを勧める世話好きな人もいたようです。家族は、義父が治療による改善の見込みの無いことをお医者さんから言い渡されていたので、隣人からの“親切な勧め”は丁重に断るように義母に言い含めていました。 ところが、ある時、義母がどこからか高額のお札を買ったことが分かり、実家を離れてい