Ⅰ はじめに テロ等準備罪(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画罪)を創設する組織犯罪処罰法改正案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案、193回国会閣法64号)が衆議院を通過しました。このエントリは、これを受けて、衆議院の議論で積み残されたと思われること(=参議院で議論されるべきこと)を、刑事法研究者としての視点から整理しようとするものです。 なお、同法案は国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(英文名称は、United Nations Convention against Transnational Organized Crime。以下、「TOC条約」と記す)を受けて国内法の整備のためとして上程されているものですが、同条約の解釈には限定的にしか言及しません。このことは、私が国際法・国際刑事法・国際政治学
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