関野 祖先が琉球列島に渡ったのは、単に漂流したのではなくて、島へ渡るという目的をもって航海したのではないかというお話がありましたが、たまたま流されてたどり着いた可能性もあると、私は考えています。ただ漂流するだけではなくて、なんとなく推進する力、たとえば簡単なオールなどを利用すれば海を渡れませんか? 海部 昔は地図もないし、見えている範囲だけが世界です。流されただけでは先にある島が見えないので、あえて沖に出るのは命がけのギャンブルです。漂流していることに気づけば、一生懸命陸地に戻ろうとするはずです。もし黒潮につかまったらずっと先のトカラ列島まで流されますが、20日間ぐらいかかります。その間耐えられるかどうか。ただ、漂流とそこからの生還を繰り返して少しずつ海流についての知識を蓄えていったということはあると思います。 関野 私はインドネシアから沖縄まで3年間で航海したので、危険が伴いました。それ
![第6回 海部陽介(人類学):人類はどのように日本列島にやって来たのか?(対談編)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/6ac5ed97fdd1795fe85bbcf60a35c7f222e34b29/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnatgeo.nikkeibp.co.jp%2Fatcl%2Fweb%2F18%2F071000013%2F061700014%2Fph_thumb.jpg)