日本国憲法が揺らいでいる。憲法解釈を大きく変更した安保法が国会で成立し、自民党はさらに改憲を目指す。その根底にあるのが「押しつけ憲法論」だ。だが日本国憲法がこれまで70年間、この国の屋台骨として国民生活を営々と守り続けてきたのも事実である。この連載では戦後70年、日本国憲法が果たしてきた役割、その価値を改めて考えたい。 第1回は日本国憲法がひとりの女性を救った物語である。 栃木県某市。その地域のことをどう表現すればいいのか、戸惑う。ちょっとした幹線道路と小さな道路に区切られた一角に団地が建ち並ぶ。辺りには民家と田んぼしかない。表現の手掛かりになるような特徴がなく、ぬるっと手から滑り落ちそうなところ。そんな地域が、日本憲法史上に特筆される裁判の舞台となった。 裁判の名前を「尊属殺重罰事件」という。日本で初めて最高裁判所が法令違憲の判決を下した事件といわれている。 事件は47年前の1968(昭
久しぶりの記事配信になりました。実は2012年12月から30回近く続けてきたこの連載「MBAが知らない 最先端の経営学」が、大幅な加筆・修正のうえ『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』として11月24日に日経BP社から刊行されることになり、その執筆・編集作業に追われていました。本書書下ろしのコンテンツも豊富にあり、日本では通常知り得ない「世界最先端のビジネス知」が盛りだくさんですので、ぜひ手に取っていただければと思います。 さて、今回はその本でも書ききれなかった、私が米国から帰国して日本のビジネスパーソンと交流を深めていく中で気づいた、重要な視点を議論しましょう。それは、いわゆる「中期経営計画(中計)」についてです。 日本企業にはびこる「中計病」 みなさんの企業でも、中計を立てられるところは多いはずです。最近なら、経営再建中のシャープの中計が話題になりました。しかし、「どうもこ
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