ジョージ・ロムニー《キルケに扮したハミルトン夫人》18世紀のイギリス画壇において、肖像画の分野でかの有名なジョシュア・レノルズと張り合う存在と見なされていたジョージ・ロムニーの作品です。 この絵のモデルの名はエマ・ハート。後に駐ナポリ英国大使ウィリアム・ハミルトンの妻となって「ハミルトン夫人(Lady Hamilton)」と呼ばれ、ナポレオンのフランス艦隊を２度も撃破したイギリス海軍の英雄ネルソン提督の愛人としてヨーロッパにその名を馳せた絶世の美女です。 1765年頃、鍛冶屋の娘として生まれた彼女は誕生後しばらくして父と死別。母と２人で苦しい生活を余儀なくされますが、やがて年頃になると貧困からの脱却を求め、天与の美貌を利用して男から男へと渡り歩く生活を送るようになります。 1782年、３人目の愛人であるチャールズ・グレヴィル（後に夫となるウィリアム・ハミルトンの甥）の庇護下にあったエマは、グレヴィルの友人である画家ロムニーと出
