《魔笛》には何よりもモーツァルトの人類への愛情を感じます ミュージカルを始め、オペラ、演劇、歌舞伎と国内外で幅広いジャンルの作品を手掛け、日本を代表する舞台演出家のひとりである宮本亜門。東京二期会ともこれまで4作品でコラボを重ね、いずれも高い評価を集めてきた。 「ダ・ポンテ三部作」に続いてモーツァルトでは4作目となる今年7月の《魔笛》公演が早くも大きな話題を呼んでいる。オーストリア・リンツ州立劇場との共同制作である本公演は、すでに2013年9月に同国で先行上演され、大成功を収めた。今回は彼にとって欧州初演出オペラとなったその舞台の、いわば凱旋公演といえる。 「リンツの音楽監督でもあるデニス・ラッセル・デイヴィスさんに、震災直後の11年に《フィガロの結婚》を指揮していただいた時、ぜひまた一緒にやろうと誘われたのです。お声をかけていただき嬉しかったのですが、正直悩みました。モーツァルトに縁の深